覗かれている

23 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[] 投稿日:03/02/26(水) 09:57
数年前の高校受験の頃の事。

私立の高校の推薦入試が決まって、夜遅くまで勉強していた。
深夜放送を聞きながら、ノートにカリカリと問題と答えを書いていく。
大分集中していたのか、回りの音はだんだんと聞こえなくなってきていた。
ふと、違和感を感じた。
私は一人でこの部屋にいるはずなのに、どこからか覗かれている気がしていた。
「気のせいだ」と思ってもう一度ノートと向きあう。
だが、5分もすると、やっぱりどこからか覗かれている気がして、集中出来なくなってくる。
そんな事が2・3回ほど繰り返したその時。
「フフフッ」
低い笑い声がふすまの向こうから聞こえて来た。
恐る恐るそちらの方にゆっくりと振りかえった。
「ヒイッ!」
私は見てしまった。
ふすまとふすまが20cm位開いていて、
そこにはぼんやりとした逆光に照らされた曾祖母のニタニタと笑う顔がこちらを見ていた。
腰が抜けんばかりに驚いている私に曾祖母は言った。
「まだ寝ないのか。」
心臓がバクバクして、かろうじてコクコクと頷く自分。
曾祖母はにやけた顔のままふすまを閉めた。
曾祖母は、その頃かなりボケが進行しており、
深夜に起き出してしまう症状があった。
しかも、私のその当時勉強部屋に当てていた部屋と、曾祖母が寝ていた部屋というのは
ふすま一枚隔てた隣同士だったのだ。

あれから数年たって、曾祖母は97歳で亡くなったが、
あの時、ふすまの隙間からニタニタしながら笑っていた曾祖母の不気味な顔は
未だに忘れられない。

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