幽霊トンネル

428 名前:後ろを見てみな[] 投稿日:03/03/23(日) 01:54
キシュツの話だったらすみません。

これは、友人から聞いた話でネタだとは思うのですが、怖かったので。

関東某所の話です。県境のある場所に交通事故多発のトンネルがあり、
全くのお約束どうり、ついたあだ名が「幽霊トンネル」。
事故現場には花がたむけられ、アリもしない噂の類が先行しその場所はあっという間に
心霊スポットとして地元や近隣の人たちの間で有名なスポットとなってしまいました。
「白い服を着た女性が時速100キロ以上で追ってくる」とか、
「血まみれの手形がボンネットにびっしりついていた」といった話があっという間に広がり、
好奇心旺盛な若者たちや、野次馬の観光客が連日訪れる場所となったのです。

そんな心霊ブームも時間と共にひと段落し、徐々に落ち着きをとりもどしてきた夏のある日の事でした。
噂を聞きつけた、若いカップルが度胸試しなのか好奇心なのか、わざわざこのトンネルまで遠くから訪れてきました。
時間はとっくに12時を回り、ただでさえ田舎にあるうえ
その日は偶然、そのカップル以外に人も見当たらず、「いかにも出そう」
という言葉がぴったり当てはまる…、そんな空気だったそうです。

さすがに、女の方は嫌な空気を感じ取ったのか、トンネルの入り口にまで
さしかかって「やめようよ~」と、トンネルに入ることを拒みはじめました。
しかし、嫌がる彼女をからかうように、
男の方は「大丈夫大丈夫。やばくなったら速攻にげるからさぁ」とそのまま、突入していったのです。


そのトンネルは、結構距離があり、両側にライトがついているタイプで、
通過するのに10分以上は掛かるトンネルでした。

トンネルに入ってからしばらくは、特に変わったことも無く、
カップルも「なんだか、普通だね」「うーん、でも暗くて怖いよね」などと話していました。
実際、トンネル内には変わった様子もなく、最近工事がされたのか比較的、綺麗な印象を受ける物でした。
「やっぱり噂だけなのかなぁ、幽霊ってねぇ」と、彼女。次の瞬間その顔が曇りました。
「あっ」トンネル内に控えめに備えられた花束…。
「まじかよ~、けっこう洒落にならねーなぁ~~」と彼氏。次の瞬間、彼女がトンネル前方に何かを発見します。「ねぇ、ちょっと…あれ…」

車を運転している彼氏も、前方にボウッと浮かぶ何かの存在に気づき、目を細めました。
「な、、なんだあれ?」「まじ、やばい…」その存在は、確かに何も無いはずの空中に、ボンヤリと浮いていたそうです。
その「モノ」が人間の女性の「生首」であるのに気づいたときには、もう引き返すに引き返せない距離まで、ソレに近づいていました。
「ぎゃ~~~~~」「うぉ~~~~~(ぶつかるっっっ!)」
次の瞬間、車に衝突すると思われた、女性の顔は、無表情のまま車のフロントガラスをつき抜け、
運転席と助手席の間を「うぅうあふぉふおうさううぉうぉうっぅお」と呻きながらすり抜けていきました。
「つっっ!」
無我夢中で、訳もわからず急ブレーキを踏む男。車は弧を描く様にスピンし、
砂埃を上げて、急停止しました…。

茫然自失とは、まさにこの事。車内に残された二人は、しばらくうつむいたままで、
目を開けることもできず、じっと息を呑んだままでした。

しかし…、しばらくして彼らが車を降りたとき、彼らは驚くべき光景を目の当たりにするのです。

なんと、車が急停止していた場所はトンネルの出口で、その先はカーブになっており
しかも事故があったのかガードレールは破損し、もしもそのまま進んでいたら、
命を落としていたことは確実だったのです。

「あ…」

何かを思い出したかのように、、「まさか、さっきの女の人…」「うん、きっとそうだよ」

そうです。先ほどの女性の霊はこのトンネルで交通事故で死んだ女性の霊で、多発する事故に見かねて、
これ以上犠牲者をださないために幽霊の姿で、ドライバーに警告を発していのです。

「あ、うちら、お礼しなきゃ、供養しなきゃだよ」女は思い立ったようにトンネルの方に
駆け出し、手を合わせました。男も「おっおう、そうだわぁ。ありがとうっていわなきゃ」

手を合わせる二人。「有難うございました」



しばらくして、二人の背後、耳元に青白い光とともに、先ほどの女性の顔がぼーーーっと
現れました。生暖かい吐息…。  そして 彼らの   耳元に  一言  … …





{シネバヨカッタノニ・・・}

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