死んだのはどっち

854 名前:じん ◆74apLKYeX2 [] 投稿日:03/04/10(木) 21:11
死んだのはどっち

6人のわかい男女が海にあそびにいくことになりました。
全員がいっしょにいく予定でしたが、、その日の朝になって、
P子とC男にそれぞれ急用ができたため、ふたりはあとから
追いかけることにして、先に4人が出発しました。
目的地は日本海がわの美しい海岸です。昼まえに用事をすませたP子は、
C男に電話をしました。ところがC男はまだしばらく手がはなせないので
先にいってくれ、というのです。C男の車に乗せてもらおうと
期待していたP子は、しかたなく電車ででかけました。

夕がた、ホテルにつくと、先に到着していた4人が玄関に立っていて、
P子をみつけるとだまって部屋につれていきました。
そして、「いいかい、P子。俺たちが何を言っても
驚いちゃ駄目だよ」
と、沈んだ声でいいました。ただごとではない様子に感づいたP子は、

「何かあったの」

と、泣き出しそうな声でふるえながら聞きました。
「じつは、C男がここにくる途中、事故で死んだんだ。
さっき家から連絡があった」
「えっ、C男君が!」
といったきり、P子は体中の力がぬけ、へたへたと座り込んで
しまいました。実はP子はC男が好きだったのです。
4人もそのことを知っていたので、どう慰めてよいか分かりません。
30分ほどたつと、P子のショックもいくらか和らいでました。
そのとき、

ドンドン、ドンドン。
と、ノックの音がしました。外から、
「あけてくれよ。今ついたよ」
というC男の声が聞こえました。5人はブルッと震え上がり、
「開けるんじゃないぞ。連れて行かれるぞ」と、
C男の声におののいていました。
ところが、P子だけはC男の声をきいた途端、たまらなく
会いたくなって、外に出ようとしたのです。

「やめろ。あぶない!」

4人は、P子を抱きかかえるようにして引きとめました。
しかし、P子は4人の手を振り切ってドアを開けたのです。
ドアの外には、青ざめたC男が呆然と立っていました。
「C男君!」
涙声でわめくP子に、
「おまえ、こんな所で一人で何しているんだ」
「何してるって? 4人といっしょに……」
「まだ知らないのか。あいつら4人は、ここにくる途中、
事故にあって全員死んだんだ」
「えっ!」

といって振り返ると、部屋の中には誰もいませんでした。
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