自転車

844 :本当にあった怖い名無し:2021/02/17(水) 00:06:33.95 ID:qSter7s80.net

昔、上司に聞いた話

上司が中学一年GWの時。友達を六甲山にキャンプに行ったそうだ。
といっても知識なんてない中坊。自転車で適当に登って、一夜を明かす計画。食い物はお菓子だけ。
テントもなく、レジャーシートと毛布、懐中電灯だけ。
適当な枝にレジャーシートかけて日除けにして・・・夜に小雨が降った。
ガチガチに凍えて、こりゃ死ぬ。というので、慌てて撤収。自転車で山道を下ろうとして、ショートカットのつもりで迷った。
下ってた道は獣道のようになり、水が流れてぬかるむ。やがて自転車を押していられなくなり、立ち往生。
各々自転車を捨て、それでも下に降りていった。
泥だらけで震えながら駐車場に出た。驚いた顔の男性が何人かいたそうだ。
声をかけられて、温かいお茶を貰い、タオルや着替えをくれた。
それで車に止めて貰い、翌日麓まで送ってくれた。

それから10年以上経ち、集まった時に、「自転車を探そう」と言う話になった。
今度は装備も調え、記憶を頼りに迷い込んだらしい沢に降りていった。
自転車はあったらしい。
半ば土に埋まり、一台は木にめり込んで吊られていたが、不思議を一台のハンドルは綺麗だったそうだ。
それでぞっとして、自転車をそのままにして道を上って帰ってきた。

だから、六甲山には、俺達の自転車がまだあるんだ。見に行くなら場所を教えるぞ。

全く懲りたようには見えない上司の武勇伝にこっちの方が怖くなった

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