視線

1 :本当にあった怖い名無し:2021/01/25(月) 00:23:56.26 ID:mKH0BaUs0.net

親父の話だが書きにくいから親父目線で書かせてもらうわ

何年も前にI市って所で一ヶ月程、おっさん達といっしょに働くことになった。
俺の家もおっさんたちの家もI市からは遠かったから、会社が持ってる家で生活することになった。
俺はおっさん達が来る一週間前くらいからその家に行くことになってた。
で、その家で色々起こった訳だ。
その家ってのは普通の一般家屋で2階建てのようだった。
というのも、玄関に入ってすぐ、階段が見えるんだが、登った先の窓からめちゃくちゃな悪天候が見えたからだった。それが印象にのこったからだった
しかし、キッチン、風呂、寝室、押し入れなど全て一階に揃っており、会社の家をあまり荒らしたくなかったので、2階に行くことはなかった。
そんで俺はその家で何度も視線を感じていた。テレビを見ていても料理をしていても、誰かに見られているような気がしてならない。だから夜は電気とテレビをつけっぱなしで耐えた。

そんなある日、ただでさえ悪かった天候がもっと悪くなってしまった。台風かと思う程の風が窓を叩き、猛烈に雨は降り、会社に行きたくはなかったが、まあしょうがなくいった。
なんとか仕事を終え、帰ろうと荷物をトランクにしまっていた時だった。
雷が近くに落ちたらしい。後ろでピカっと光るとゴロゴロってなったんだ。ピカってなった時、俺は見てしまった。
俺のものでない影がある事に。
恐る恐る振り返ってみると、人が立っていた。びちょびちょの。
でも俺はすぐに悟った。
こいつは女の霊だ。って
本当に勘としか言いようがないが、たしかにそうだったんだ。
俺は急いで運転席に乗り込むとエンジンをかけ、車を出した。

霊なんか怖くないと思っていたが、流石にビビった俺は、興奮して手当たり次第連絡先を知っている相手に電話をかけた。
俺の今の妻や弟、家にもかけた。まあ誰も相手をしてくれなかったが笑
今までの視線はあの女の視線だったのかと考えると恐ろしくて、とても家には帰れなかった。
ホテルでチェックインして部屋に入ると、会社に連絡を入れる事にした。今までの話、おっさん達が来るまで家には帰れないと言う話。
まだ興奮は冷めず、その日はあまり眠れなかった。

それから暫くしておっさん達が岩国に到着、俺も例の家に戻ってきた。
視線を感じる事は何故か無くなっていた。
しかしある日、事件が起こる。
おっさん達とも打ち解けてきた俺は、視線の話をしてしまう。
昼ご飯を食べていた時だった。
俺たちが食べていた机の近くにあったキッチンで、まず皿が動き始めた。
皆動きを止めそれを見る。
動くと言うよりかは揺れるに近い。
そこだけ地震でも起きたかのようにガタガタガタガタ揺れ出したんだ。
やがて揺れは伝染しはじめ、机まで揺れ始めた。
30秒くらいだったんだろうが、1時間くらいに感じられた。
めちゃくちゃビビる大の大人達。でも本当に怖かったんだ。
この家絶対なんかいるよぉー
事故物件だよぉー
って言って話してた。
それから夜は、電気とテレビつけっぱで、更に話しながら寝る事にした。

で、それから暫くして急に社長に呼び出される事になった。
俺はてっきり、怒られるのかと思ってしまい、
僕の気のせいだと思います!
幽霊なんかいません!
って感じで弁解したと思う。
そしたら社長が
いや、いるんだよ、あそこ。
って言ったんだ。
社長曰く、霊感が強い社長の娘がその家に泊まった時、なんかいるよって言ってて、
今回の俺の話で確信に変わったらしい。
有名なお祓い師を呼ぶ事になったんだが、半年後くらいになるらしい。
取り敢えず俺たちがいる間はお祓いはできないそうだ。忙しいらしい。
でも取り敢えずのお坊さんを呼んでくれてなんか唱えさせてた。
で、視線は完璧に感じなくなったし、
しばしばあったポルターガイストも無くなった。

仕事の期間も終わり、おっさん達が帰り始め、残りは俺とおっさん一人だけになった。
そこでまた事件が起こる。
それはシャワーを浴びている時だった。
急にお湯が生温くなり、ドロドロし始めた。シャワーを止め見てみると、俺は全身血だらけだった。血を浴びていたのだ。
流石の俺も叫ばずにはいられなかった。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
おっさんがみにくるとまず、
どこを怪我したんだ俺君!
と言ってきた。
血だらけだったからね。

これで怪奇現象はお終い。
なぜならお祓い師さんが意外とすぐ来てくれたから笑笑
家追い出されて、半日後くらいに戻ってみると、お札が一枚だけ貼ってあった。
階段があった筈の場所に
そう、階段や二階は完全に無くなっていた。おっさんも二階など全く知らず、俺だけに二階や階段が見えていたんだ。

お祓い師さん曰く、
めっちゃ強いから期限付きで封印した。あと二十年くらいしたら出てくる
らしい。その時はまたお祓い師さんがきてペタペタするらしい。しかしそのお祓い師さんは亡くなったと聞く。
あれから二十年は立った筈だ。
岩国の家に泊まる時は視線に気をつけた方がいいかもしれない。

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