桜酔い

47 名前: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/05/15 00:57 ID:gsYipgG2
先輩の話。 

彼の実家の裏山には小さな公園があり、見事な桜の木があるそうだ。 
大学生の頃、夜桜を楽しもうと、先輩は深夜に一人出かけたという。 

街灯は薄暗かったが、桜は満開で十分堪能できた。 
公園のブランコに揺られながら、カップ酒をちびちび舐める。 

いつの間にか、公園の真中に小さい女の子が姿を見せていた。 
嬉しくてたまらない様子で、軽やかに跳ね踊っていたらしい。 
先輩はぼんやりと、しかし魅入られたようにそれを眺めていたそうだ。 

なぜか、その後の記憶がはっきりしないのだと彼は言う。 
気がつくと、家に帰って床についていた。 
それから三日間、彼は原因不明の熱にうかされた。 

事情を知ったお祖父さんから「桜にあてられたな」と言われた。 
見てよい物とよくない物の区別くらいは付けろ、そう注意されたそうだ。 

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