毒の実

610 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/04/17 01:45 ID:w0AL0VbK 
ふに落ちない話。 

山の中で、毒の実を食べたことがあります。 

桑の実のような濃い紫色の、つるつるした実。 
山の中で出会った女の子からもらった実でした。 
 「甘くておいしいよ」と言われて、私と従姉は 
迷わず口に入れました。 
一瞬、甘味を感じたと思ったのですが、そのあとから 
なんともいえないびりびりと痺れる感覚が、口の中いっぱいに 
拡がりました。 

まともな言葉も出ずに「あうううううう…っ!」とうめきながら 
口の中の実を吐き出し、慌てて従姉と共に伯母さんの家に帰りました。 

つばを吐き出し、何度もうがいをしては、ふたりで30分ほどあえいだあげく 
ようやく、口の痺れは薄れていきました。 

「何で、知らない実を食べたりしたのっ!!」と、 
母と伯母さんにこっぴどく怒られました。 
「だって…」と言い訳をしようにも、 
「知らない子からもらった…」なんて言おうものなら 
なんだか大事になりそうだったので、だんまりを決め込みました。 
結局「これからは2度と知らない実を食べないこと!」と 
厳命されて、その場は落ち着きました。 

その日の夜、お泊りで従姉の隣のふとんに寝ながら、 
「くやしいよね~」 
「ひどいよね~」 
と、ボヤキとグチまくり。 
でも、ふたりともあの女の子の事は言わなくてよかったと 
しみじみと思っていました。 
だって女の子は、あの紫の実を平気な顔でいくつも食べていたのだから…。 

その後、私も従姉もすっかり大人になったけれど、 
どことなくあの実に似ているので 
いまだにふたりとも「ブルーベリー」が嫌いです。 

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