オカルト巡り

598 :本当にあった怖い名無し:2007/02/15(木) 21:29:44 ID:gJox7S1TO

高校を卒業してフリーターをしている俺は、バイト生活の中で退屈していた。
そんな俺の楽しみといえばバイク。

それとオカルト巡りだ。(もっとも今はしていないが…)
ちなみに巡りを辞めたきっかけの幽霊とのレース以前にも、もちろんいわく付きの場所には山ほど行ったわけで…その時の事を少し書こうと思う。
自慢じゃないが俺は友達がかなり少ない。携帯の登録数も数えるほどだ。
その寂しい携帯で撮った、心霊写真まがいの物を見てるとバイク友達のうまい棒(仮)が話しかけてきた。
「なぁおい!〇〇(県名)に行く途中にピンクのホテルあったろ!?あそこさ、出るんだってよ…幽霊w」
コイツは俺がオカルト好きと知ってから、何処から取り寄せてくるのか度々こんな話しをもってくる。
うまい棒「何でもあのホテルさ、旦那に不倫されて思い詰めた女の人が、ある一室で自殺をしたらしいんだ。」
ラブホテルで自殺…コイツのもってくる話しは何処かあやふさな物ばかりだ。

コイツは族に言う『怖がりの怖い物好き』、というやつで自分は決してそういう場所には行かないのだった。
棒「どうだ?行きたくなったろ?」
「うん、行きたくなった。それじゃいこうか。」
俺はバイクの免許しか持っていないため(さすがに一人でラブホに行くのは恥ずかしい…しかもバイクじゃ…)
嫌がる奴をお前が持ってきた話しだ連れていけと、奴の車の中にたて篭り半ば強制的に連れていった。
初め奴はブツブツ文句を言っていたが、途中からふっきれたらしく車のカセット(今時カセットって…)で長渕を流しながらピーピーピーとか歌っていた。
そして問題のホテルについたわけだが…新しい。
ホテル自体がまだ建って間もないという感じだった。

しかし車は殆ど止まっておらず(まぁ歩いて来たの奴もいるかもしれないが)部屋もガラガラだった。
俺「何号室よ?」
棒「ウヒヒ…w」
とりあえず俺は奴の頭に叩きを入れ、適当に選んだ部屋に決めた。
情報もあやふや、部屋も分からない、という最悪の状態だったので俺は完全に諦めていた。

そして幽霊が出るであろう部屋(仮)。
案の定部屋はキレイで幽霊の出る感じなど全くなかった、窓を開けても向かいのビルなどが見えるだけ…。
うまい棒はというと風呂に湯を溜めている…それからしばらく待ったが外は真っ暗、部屋も薄暗くしているのに出る気配は無し。
うまい棒は湯で上がってるし、俺も金を払ってるんだからシャワーくらい浴びようと思い浴びていると奴がいきなり叫び出した。
棒「おい向かいのビルの上に人がたってる!!」
俺は忙いで窓際まで行くと、確かに向かいのビルの屋上に赤い服をきた女の人が立っている。
棒「まずいって自殺だってあれ!」
奴はすっかり取り乱してしまい何かを叫び続けている。
俺も初めはヤバいと思いフロントに電話しようかと思ったが、よく見て見るとおかしな事に気が付いた。
ピクリとも動かないのである。服は確かにはためいているが、その場に棒立ち状態だ。
俺はメガネをかけてその正体が分かると、途端にさっきまでの自分の取り乱しようがはずかしくなってきた。

オイオイとうまい棒をなだめ落ち着いて見せると、なんの事は無い。
赤い旗が鉄の棒にからまって人のように見えるだけだった…。
馬鹿らしくなった俺達はそのまま泊まらずに帰ったのだが、後から調べて見ると確かにそのホテルで事件はあったそうだ。
ある男の人が不倫相手とあのホテルに泊まっていたのだが、そこに奥さんが乱入。
旦那さんを絞め殺してしまった…と、まぁ救いようの無い話しである。

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