様々な家紋の入った木箱

233 :本当にあった怖い名無し:2007/02/02(金) 13:35:31 ID:DUyw73/b0

実家には蔵というか納戸というか、骨董品と季節物が乱雑に放り込まれた物置がある。
ねずみが足元を走っていったり蜘蛛の巣が張っていたりで、あまり長居をしたくない場所だ。

小学生の頃、祖父が座布団か何かを持ち出すと言うので手伝ったことがある。

その物置には階段があって、それまで2階には上がったことがなかった。
そもそも普段は鍵がかかっているので、その物置に入ったことも殆どなかった。
階段を登った先は窓があるおかげで思いのほか明るかったが、
見回してみると異様な雰囲気があった。
4畳半程度の空間の四方の壁には、
10台程度の振り子時計と様々な家紋の入った木箱がかかっていた。
郵便受けくらいのサイズの漆塗りの箱が、7,8個くらいかかっていて、
その殆どは違う家紋が入っていた。
「爺ちゃん、この箱何がはいっとるの?」
指差して訊くと、祖父はこちらも見ずに目当てのものを探しながら言った。

「そら、昔のお侍さんの、……ほら、反対側持たんか」

「昔のお侍さんの何やねん」
荷物を運び出した後に尋ねたが、祖父は答えてはくれず、
「ちゃんと風呂場で足洗っとけよ」とだけ言って去って行った。

それ以来あそこに入るのがなんとなく嫌だ。

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