緑っぽいジャージを着た女性

790 :本当にあった怖い名無し:2007/01/18(木) 15:05:20 ID:dTrsNkFI0

高校生の頃のちょっとした話。
友達三人で出かけようってんで、二人で友達のアパートまでもう一人を迎えに行った。
「ちょっと便所済ませてくる」とか言ってなかなか家から出てこない友達を、アパートの入り口の前で
お喋りしながら待ってたんだけど、その時緑っぽいジャージを着た女性(年頃とかはよく覚えてない)が
道を歩いて来て、アパートの入り口の向かい側にある電柱と塀との間、ほんの隙間に入って行った。
電柱はブロック塀に沿う様にして立っていたので、俺は友達と何か下らない話で盛り上がりながら
「あのお姉さん何であんな狭いところ通るんだろ」とちょっと気になってた。で、談笑しながらも友達の
背後に位置する電柱をチラチラ見てたんだけど、その女性は電柱の陰から一向に出てこない。姿も
完全に見えなくなってる。電柱なんかに人ひとり完全に隠れられるものかどうか、その時はあまり
気にしなかった。
その内、電柱の影で緑色の何かがフラフラ揺れてるのが見えだして、そこでようやく、さっきの女性は
アパートに入ろうとしていて、でも入り口で男子高校生二人が大声でバカな事話してるのが邪魔で
入るに入れず困っているのではないか、と思いつき、友達の袖を引っ張って脇にどいた。
「なんだよ?」「いや邪魔なんだよ」とか話しながら待つが、電柱の影の緑色はゆらゆらしてるだけで
一向に出てこない。「あーすいません、どーぞ!」と愛想笑いしながら電柱の陰を見に行ったら、これが
見事に誰もいない。人が入れるだけの幅も無かった。
気のせいだ、で済ませたかったんだけど、友達も「あれ? 今そこに何か」と慌ててた。
結局よく解らないままその日は遊びに出かけてしまったが、それ以降、そのアパートに行く度に
塀と電柱の間の隙間に入って消える緑ジャージの女性を見たんだけど、何度目かに見かけた時に
目が合って、どうもその日を境に見なくなったように記憶してる。

だからどうという話でもないんだけど、今も塀沿いの電柱なんかを見かけるとついつい覗き込んじゃう。

前の話へ

次の話へ