秘密基地作り

283 :1/3:2007/01/04(木) 04:55:45 ID:7KtYMFie0

小学生の時に体験した、未だに謎な話。
市内でもかなりの下町の地域に住んでて、小二の時には近所の友達と秘密基地作りに熱中してた。
近くのアパートのボイラー室に作った秘密基地は大人に発見され、今度は自宅の斜め三軒前にあった
廃屋を基地にしようと、隣に住んでいた友達Tと懐中電灯を持って中に入った。
下町の長屋っぽい家ばっかりの所で、玄関の前がすぐ道路って作りだった。
入り口は木の板で×印に塞がれていたけど、木のドアが腐って子供が入られる位の穴が開いてたから
見つからないように気をつけるくらいで、入るのは簡単だった。
かなり昔からの廃屋で、親からもいつ崩れるか分からないから入るなと言われていたが、
中に入ってみるとそれ程ボロボロでもなかったと覚えてる。
家具とかが散乱してたけど、かなりの広さがあった。窓とかは外からベニヤ板で塞がれてても、
秘密基地として覗かれない事が大事だったんで気にもならなかった。

家具が散乱してた一階を探検してから、二階へと進んだ。
一階に比べると二階はかなり綺麗だった。家具も一つもなくて、ほこりっぽいだけだった。
ただ少ししてから、妙にその部屋が狭い事に気が付いた。
外観や一階の広さに比べたら六畳くらいの部屋が一つっておかしいし、なんか形も変だった。

┌──┐    こんな風に、廊下とかなくて部屋の中に階段がある感じで、他にはドアとかない。
│    │    でも何か「絶対に部屋があるはずだ」と思って、Tと懐中電灯で壁を照らしてたら、
│|階| .└──┐壁の下側に横に細長い窓を見つけた。自分達の膝に足りない位の高さだったと思う。
│|段|.       │部屋があるならドアもあるはずだってもう一回壁を見て回って、一階に戻って別の
└─────┘階段も探したけど無かった。
それで二階に戻って、下の窓からどうにか隣に行けないかと、二人でその窓を開けて中を覗いた。

隣の部屋は窓が塞がれてなかったのか、明るくて懐中電灯で照らさなくても見えた。
俺に見えたのは、赤いペンキをぶちまけたように汚れている壁だけだった。
だけど隣のTが急に大声を出して懐中電灯持って逃げ出した。それこそ絶叫と言えるくらいの声で、
その声とTの行動に驚いて俺も二階から逃げ出した。
外に出ると家に飛び込んでくTの姿が見えて、俺も仕方なく家に帰ったんだけど、翌日からTは学校を
休んだ。
急に高熱を出して寝込んだって聞かされただけだけど、どれくらいしてからか忘れたけどTのお母さんが
俺の母親にTの熱の原因が分からない事と、うなされながら誰かに謝ってるってのを教えられて、
さすがに俺も恐くなった。
だけどあの廃屋に入った事がバレて怒られる方が恐くて黙ってた。
それでまた何日かして急にTの熱は下がって回復したんだけど、Tは俺と廃屋に入った事や熱で
うなされてた事も一切覚えてなかった。

何か未だにもやもやするんだけど、廃屋は小四の時に取り壊されて、母親にそれとなく聞いても
母親が嫁いできた時にはもう空き家だった事しか分からない。
今では区画整備で、そこら辺全部取り壊されて綺麗になってるし。
だけど母親が嫁いできた時から年数を計算したら、二十年以上は軽く空き家だった事になる。
少なくとも俺が最後に見た部屋だけは、その年数を感じなかったのも謎だ。

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