キモ試し

717 :1/2:2006/12/08(金) 04:43:02 ID:jx34Gq7K0

小学校の合宿の時のこと。
1泊2日の合宿で、飯ごうやらキモ試しやら……とまぁ、お決まりのコース。

その中のキモ試し。
驚かす側は教職員。生徒もそれは分かっていたのだが、如何せん小5のガキ集団。
知らない道を歩かされるのは怖いし、前説としてその土地に伝わるいわくつきの話をたっぷり聞かされた後。
出発前から泣き出す奴やら、「幽霊なんておるわけないやん」と言いつつも足はガクガクしている奴やら……
まさに教員の思うツボ、な状態での出発となった。

以下、私の班の構成員。
私:いわゆる「ガキ大将」的女の子
男子A:小心者のクセに言うことだけは一人前
男子B:誰だったのかも覚えてないくらい、存在感のない奴
女子C:クラスの中で一番の親友。おっとりだが恐怖耐性アリ
女子D:やや怖がりだが、腕力は班随一


とは言っても、小学生のガキ相手のキモ試し。怖がらせること以上に教員の心配処は「けが人が出ないか」だったから、
道を間違えそうになると、黒い服を着た教員がコソコソっとやってきて、正しい道を教える……雰囲気もクソもない
状態だが、この時点で男子ABと女子Dは完全に逃げ腰。

私はといえば、「俺が入れば大丈夫!」と先陣切った男子Aに袖をがっつり掴まれ、更には男子Aの袖をガッツリ掴んだ
男子Bの錘、挙句の果てには女子Dに利き腕まで押さえられ、恐怖よりもとにかく動きづらい!
唯一平常心で話をしてくれる女子Cも、決して私より前方へは出ない。
このままでは兎にも角にも動きづらいってわけで、お化け役は教員だと分かった上で、あえて教員に泣いてもらうことにした。



平たく言えば、お化けとして眼前につっ立った教員全員に、ケリを食らわしたのである。
(両腕が上記メンバーによって使用不能となっていたため)

とは言っても、小5女子。
しかも両腕に体重の4倍の錘つき。
キックの威力自体は大したことなかった。
蹴られた先生も、ちょっと素に戻りつつも、笑って許してくれる程度だった。
得体の知れない「お化け」が一瞬、普段知ってる「先生」に戻る……それでメンバーも安心したのか、キモ試しを終える頃には
「全然大したことなかったやん」と開き直っていた。
(余談であるが、一番開き直っていたのは男子A。最後まで私の腕にしがみついていた男子が一番開き直っていて、後で笑い種となった。)



キモ試しも無事に終了し、まだ余韻覚めやらぬ風で泣いていた女子(と男子のごく一部)をなぐさめて回る教員。
「○×ちゃん(私)ったら、本気で蹴ってくるからどうしようかと思ったわぁ」
……どうやら、私も平気なフリをしていて、恐怖からか力が入っていたらしい。
正直……実はちょっとは怖かったわけである。
「そういえば○×ちゃんには私も蹴られたよ……アハハ」と言って出てきたのは教頭先生。
そこで、私をネタに「蹴られちゃいましたよ」大会が開かれて、私はといえばそれを聞きながら苦笑いしていた。

かくして、波乱万丈のキモ試しは無事に終了したんだけど。
これは、実は誰にも言っていなくて、しかも私も古い記憶だから確信は持てないんだけど。


蹴った教員の数がどうしても合わない。
当時は教員と仲がよかったから、今でも誰がお化けをしていたのか、全員顔と名前つきで思い出せる。
……でも、私が蹴ったと記憶している回数は4回。
蹴られた「お化け先生」は3人。

小学校時代の記憶だから、曖昧なのは仕方ないんだけど……やっぱり私はあの時、4人の「お化け」に蹴りいれたのにな……。

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