校外の公衆電話

140 :本当にあった怖い名無し:2006/08/30(水) 00:49:46 ID:0mGpOXWoO

母が高校生の時の話。
文化祭の準備の為、教室で居残り作業をしていた。
夕方になっても終わる目処がつかないので、帰りが遅くなる旨を家族に知らせようと、友人A子と共に校内の公衆電話へと向かった。
しかし同じ目的の生徒が列をなしていて、なかなか順番が回ってきそうにない。
堪え性のないA子に促され、校外の公衆電話まで行くことになった。
そこは霊園の脇にひとつだけぽつんとある電話ボックスで、気味が悪く、普段なら絶対に使いたくはないのだが、息抜きがしたかったのと、A子も一緒だという心強さで同意した。
道すがら、どちらが先に電話をかけるかジャンケンをし、母が勝った。着いてみると先客がいた。
背広姿の細身の男性が、ボックスの中で何やら悲壮な様子で話している。
「嫌だなあ、時間かかりそう」と思いながらも、仕方がないので少し離れた場所で待つことにした。
手持ち不沙汰に世間話を振ると、A子は怪訝な顔をした。
「何?早くかけなよ」
「でも・・・人がいるから」
「ああ、あの人?あなたにも見えるんだ。こっちの人じゃないから気にしなくていいよ」
そう言うとA子は何食わぬ様子でさっさとボックスに入り、電話をかけた。
男性の姿はもうなかった。
母は半泣きで学校に戻り、20分並んで電話をしたそうだ。

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