一緒に連れて行ってくれませんか?

596 :本当にあった怖い名無し:2006/08/14(月) 00:11:43 ID:q3Qd5cJ70

去年の丁度今頃、私の叔父が遭遇した出来事です。叔父はその日職場の友人とお酒を飲んでいました。
もう一軒行こうと誘われたらしですがその夜は叔父は一人早々と抜けてしまったんだそうです。
ほろ酔い気分でバス停でバスを待っていました。すぐにバスは来て叔父はそれに乗り込みました。
車内は田舎のこんな時間にしては混んでおり、やっと空席を見付けるとそこに座りました。
すると何やら視線を感じたんだそうです。
チラッとみると、すぐ側で老人がこちらをじーっと見つめています。
もしかして座りたかったのだろうか?
それならば自分が来る前に座れたんじゃないか?
とにかく薄気味悪かったので寝たふりをしていたそうです。
数分後次のバス停に停まり、そこで一人の男子中学生が乗り込んできました。
すたすたと一直線に叔父の所まで来ると
「一緒に連れて行ってくれませんか?」
と言ってきたのです。
叔父は寝たふりをしてたんですが、思わず「えっ?」と声を出してしまいました。
目の前には見知らぬ少年。
その向こうにはまださっきの老人が恨めしそうにこちらを見つめています。
「一緒にいってもいいですか?」
少年はもう一度尋ねます。
叔父は少年の顔をもう一度見てみます。
見た事はない、だけどどこかで会った様な、見たような顔だったと言うのです。
いつの間にか
「いいよ」
と承諾してしまうのです。
自分でもなぜそう言ってしまったのか今でも分からないと言います。
少年は叔父の隣に座りいきなり強い力で腕を握ったのだそうです。
何となく身動きが取れないまま、何の会話もないまま目的地に着いてしまいました。
「ここで降りるんだよ」
叔父が少年に言うと、
「いえ、違います。ここじゃありません」
強い口調で否定したのです。叔父は掴まれた腕を外そうとしましたが抜けません。
バスも走り出してしまいました。
仕方なく次で降りようとしたら、またも少年が強い力で腕を握り阻止するのです。
叔父は強引に少年を引き離し老人を押し退けて今度こそ降りることが出来たそうです。
バスを降りるとすごい汗をかいてる事に初めて気づきました。

汗をぬぐいつつ走り去るバスを見て叔父は固まってしまうのです。
バスの窓からはさっきまで乗っていた人数以上の人間が、叔父を見下ろして何かを呟いているのです。
少年もいました。
窓の向こうにいるはずの少年は叔父にはっきり聞こえる声で
「裏切ったな」
と言ったのだそうです・・・。
うわぁぁ!!叫んでハッとするとそこは初めのバス停。
どうやらバスを待つ間に眠ってしまったようでした。
時計を見ると10分も経ってません。
あまりにもリアルな夢に怖くなった叔父はその後タクシーで帰ったそうです。
この話を聞いた後、私の父(叔父の兄にあたります)はその少年に心当たりがあるような事を言っていました。
そして叔父本人ももしかしたら、という様子でした。
「心当たりがあるなら墓参りにでも行ったら?」
と母が勧めたのですが、はっきりしないしそもそも墓があるかも分からないし・・・という何とも曖昧な返事。
母も私も気になったんですが、結局それが誰なのか教えて貰えませんでした。

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