自分の家まで送って欲しい

378 :本当にあった怖い名無し:2006/08/08(火) 00:42:14 ID:T0YlqGiR0

何かの番組で見た話なんだが・・・

ある冬の夜、タクシー運転手のMさんは霊園の近くで、白い服を着た
若い女性を乗せたました。その女性は何だか疲れ切っていた様子で
声にも覇気がありませんでした。顔を俯き、黒い髪の毛がだらんと
肩から垂れています。どことなく不気味な雰囲気を醸し出すその女性は、
自分の家まで送って欲しいと頼みました。
所々道順を教えながらあとは黙ったまま。
10分程走った後女性の家に到着しましたが、女性はお金を取ってくると
言って家に入ってしまいました。
暫くMさんは女性を待ったが一向に戻ってくる気配がない。
仕方なくチャイムを鳴らしてみると、家からは寝起きの男性が出てきました。

「こちらの家の女性をここまで乗せてきたんですが、お代を頂いてませんので」

そう告げると男性は不思議そうな顔をする。どうもおかしいなと思い
女性について詳しい話をすると、男性は見る見る青くなっていきます。

「それは先月なくなったA子じゃないかと思います。交通事故でした。
きっと家に帰りたかったんでしょう・・・・」

それを聞いたMさんは真っ青になりそのまま逃げるようにタクシーに乗り込み
去ってしまいました。

タクシーが去り男性が部屋に戻ると・・・そこには先ほどの女性が。

「上手くいった?」
「ああ。お前を幽霊だと信じ込んで逃げてったよ」

2人は自分たちの芝居が上手くいったことを笑いながら話しました。
勿論女性が死んだなんて大嘘です。しかし・・・・

「あ・・・私携帯タクシーに落としてきたみたい・・・」
「何だって?!」

仕方なく男性はタクシー会社に電話をし、詫びを入れてから携帯を
返して欲しいと頼みました。ですが返ってきた答えは

「この時間うちのタクシーはそっち方面には出てませんが?」

そんなはずはないと男性は必死で説明をしました。
霊園近くで乗ったこと、運転手の人相、そして名札にあった名前
すると今度はあちらが慌てた様子で

「そ、それはきっと先月なくなったMですよ!
霊園近くで交通事故に遭いましてね・・・即死でした」

これぞ逆幽霊タクシーです。
その後A子さんの携帯は見つかることはありませんでした。
今でもたまーに霊園の近くを通るとMと言う名札を付けた
運転手の運転する「空車」タクシーが通るんだそうですよ

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