おんぼろアパート

202 :本当にあった名無し:2006/08/03(木) 22:58:42 ID:uvXQcHj70

これは俺が一人暮らしをしてたころの話
俺が住んでたのは築四十年もたとうかというおんぼろアパート。
部屋はドアを開けた瞬間にかなりの異臭がした。
当時俺は大阪の大学に通ってて、通学に便利でしかも貧乏な俺にはもってこいのアパートだったので
気にもせずそこで暮らし始めた。
しかし、入居したその晩に、奴は出たのである。
その日俺は朝から引越しの荷物の片付けをしていてかなり疲れていたので、まだ半分も終わらないうちに
ダンボールに埋もれて爆睡していた。夜中の2時を回ったところだろうか。俺は妙な音で目が覚めた。
どこからともなくかさかさと何かを探るような音がしてきた。
泥棒と思い俺はとっさに枕元に置いておいた剣道の竹刀を手に取ると「剣道初段のおれをなめるなぁー」と叫びながら
さっと立ち上がり電気をつけ辺りを伺った。・・・・・・・?誰もいない。確かに今何かの気配を感じた。
しかし貧乏学生のところに入る泥棒もいないだろうから気のせいかとおもい電気を消して布団にもぐった。
そして寝かかったころまたかさかさっと音がした。そして何かが俺の手、足に覆いかぶさってきた。
立ち上がろうとしても体が金縛りにあって動かない。しかし真っ暗で何も見えない。ヤバィ・・・・
身の危険を感じた俺は全身に力を込めて何とか動こうとした。しばらくするとふっと金縛りが解け、全身が軽くなった。
俺はとっさに立ち上がり電気をつけた。全身汗でびっしょりだった。
恐る恐る部屋中を見渡すと、ダンボールの影に無数の髪の毛。俺はその場に立ちすくみ動けなくなった。

・・・・・・・・!
よーく見てみるとその髪の毛がゆらゆら揺れている。しかも規則正しく右・左・右・左に
ちょうど車のワイパーのように。背筋に悪寒が走った。冷や汗がにじみ出てくる。「それ」に目がくぎづけになった。
しかし俺は勇気を振り絞ってダンボールを勢いよく持ち上げた。その時・・・・・・・・・
大きくて黒い夏の風物詩的な「あれ」がおそらく十数匹。どっと汗が噴出し、夜中の2時半だというのに
大人気なく「ギャアアアァァァァーーーー」と叫んでしまった。そこからのことはあまり記憶がない。
気が付くと窓からはもうすでに日が差し込んできていた。俺は着の身着のまま飛び出して大家のところへ。
俺は大のゴキぎらいなのだ。昔夕食で鍋を囲んでいるときに、酔った親父が何を思ったか懐からゴキを取り出し
「いいだしが出るぞ」とポチャン♪それ以来俺はゴキを見ると、そのことを思い出して吐きそうになる。
そのあと家族全員で親父を叩きのめしたのだが。
話はそれたが、大家に文句を言うと「ここは古いからねぇ~。仕方ないよニーちゃん。」と、このありさま。
金もないしここを出て行くわけにもいかず、仕方なくダチを半ば強制的に手伝わせて片付け。
昼前には終わりダチを帰して一段落付いていると一本の髪の毛いや奴の触覚が畳に挟まっていた。
今も奴らは俺の部屋にいる・・・・だろう。

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