出るんやわぁ、あの部屋

978 :1/2:2006/07/28(金) 06:21:43 ID:rDfwZOKJ0

先日、離島のキャンプで座長の名を騙った者です。
レス下さった方々、ありがとうございました。m(_ _)m
調子に乗ってまた書かせて頂きますのも大学生だった頃のお話。

「なぁ兄ちゃん?」
夏休みを利用して帰省した実家の居間で、ビールを飲みつつテレビを観ていた時の事。
一つ下の妹が話しかけて来た。
「あのアパートにまだ住んじょんの?」

妹は高校を出てしばらくの間フリーターをしていたが、ある日突然「泊めてー!」と、
沖縄まで押し掛け、半年ほど自分のアパートに居候していた事が有る。
「あぁ、変わらんけんど」
「生首出るち言いよらんかった?」
「あれは寝ぼけて夢でん見たんじゃろぅ」
さして面白くも無い番組をぼんやり眺めたまま答える。
故郷の訛りは帰省してすっかり元に戻っていた。

「他には何も出らんの?」
「?…何しそげん事訊く?」
そこでやっと妹の方へ体を向けた。

「沖縄に居る間は言わんかったんやけんど…」
「何をか?」
「出るんやわぁ、あの部屋」
「はぁ?」

妹が言うには、兄貴が友人と飲みに出掛けたり、バイトで遅くなるなどで
部屋で一人寝ている時に限って出るのだそうだ。「彼」が。

「何え、そいつは男なんか?」
「うん、姿は見た事ねぇんやけんど男やわぁ」
「見た事ねぇで何し分かる?」
妹は突然床に寝そべると横向きになってヒザをくの字に曲げた。
「こやって寝ちょったらな、背中にぴったりくっ付いて来るんよ」
「で?」
「ヒザの裏にまでぴったり足くっ付けて来て、同し格好で重なってな」
妹はカーペットの上でもぞもぞと奇妙なジェスチャー始めた。
「ハァー、ハァーっち、首筋に息がかかるんよ、あのイヤラシさは絶対男っちゃ」
「…よう半年も我慢したな…」
「気持ち悪ぃけんど、それ以上何もして来んけん最後は慣れた」

妹よ、お前にほんのりだ。

=終=

前の話へ

次の話へ