高校の帰りの電車の中

589 :まお:2006/07/14(金) 13:38:32 ID:Pa0Lm9XdO
高校の帰りの電車の中であった話。

その日は文化祭の準備で夜8時過ぎになってようやく帰途についた。
その時間の登りの電車の中は人もいなくてガラガラ。
俺は最後尾の進行方向左の一番端の席に座り、窓の外を眺めていた。
途中準備の疲れからか睡魔に襲われた。
うとうとと目を閉じ電車に揺られていると
コツ…コツ…コツ…
誰かが歩く音が聞こえる。
ハイヒールだろうか。
やけにゆっくりと歩いている。
こんなガラガラの電車でわざわざ最後尾に?
と自分も同じような状態なのを忘れ、その足音を聞いていると
…コツ…コツ…コツ…
俺からみて左の方向(車両が繋がってる方)から右の方向へとその足音は遠ざかっていった。
何だ、通りすぎただけか、と思った瞬間。
あれ?と違和感を覚えた。右の方向は…
慌てて目を開け、辺りを確認してみても誰もいない。
車掌さんならドアを開けて閉めるその音が聞こえるはずだ。
俺は怖くなった。
でも下手に動いてもヤバいような気がする。
再び目を閉じ、下車駅に着くのをひたすらに待った。
そして
『○○団地~○○団地です』
着いた!降りなくちゃ!
焦る気持を押さえ目を開けた、瞬間
いきなり後ろから女の手のようなものが俺の顔を押さえ付けた。
目隠しをされた様な状況にパニックに陥ると、その手は立ち上がりかけていた俺を物凄い力で壁に叩き付けた。

気が付くと下車するはずの駅から8つほど進んだ駅に到着するところだった。
慌てて電車から降り、座っていた座席に目をやると、閉まった電車のドアの向こう。
さっきまでいなかったはずの真っ赤なスーツの女が俺を凝視していた。

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