人の列
430 :本当にあった怖い名無し:2006/07/10(月) 00:23:39 ID:IIqbPCTy0
友達と飲みに行く約束をしていたある日のこと
早く帰りたい日に限って急ぎの仕事が入り私は結構あせっていた。
なんとか仕事を終わらせ会社を出たが、財布の中身が乏しい。
そこで銀行に向かったのだがその日はあいにく25日の金曜日。
一番銀行が混む日だ。予想通り結構な人の列ができていた。
だがほとんどの人が給料を下ろすだけのようで、わりと列の進みは速かった。
しかし私が列の先頭に来たときだ。ピタっと流れがとまった。
自動預け払い機は2台。片方にお婆さん。操作に慣れてないようだ。おそい…
もう一台にはオバサン。通帳4冊それぞれに振込みをしているようだ。おそい…
私は軽くため息をついた…はずだった…だが私の口から出たのは「チッ」
舌打ちだった。自分でもなぜため息と舌打ちを間違えたのか分からない。
(しまった前のお婆さんに嫌味みたいに聞こえたかな)
その時だ、「オイあんた今舌打ちしたろ!」声の調子の怖さに恐る恐る振り返ると
ヤンキーな感じの兄ちゃんが私の後ろにいたオジサンに絡んでいた。
(あ、あれ…?)どうやら舌打ちしたのがおじさんだと勘違いしたらしい。
その時オバサンの振込みが終わり、一台があいた。
「自分だって歳とったらああなるんだぞ、余裕のねえヤツだな」 「ち 違うんです」
私は急いで預け払い機の前に行った。
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
心の中でオジサンに全力で謝りつつ急いで金を下ろす。冷たい汗が流れる。
「違うんですよぉぉ」 「ああ?何がよ」
(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)
なおも絡まれ続けるオジサンを振り返る余裕も無く、大股でしかし不自然にならないよう
できる限りの早足で銀行を出た。(傍から見たら十分不自然だったかもしれない)
あの時のオジサン本当に申し訳ありませんでした。
私は死んだら地獄に落ちると思います。