お告げ

777 :①:2006/06/20(火) 22:39:03 ID:uRG/Qvi2O
俺は安月給のサラリーマンだ。
名前はまだ無い。

こんな俺にも妻がいる。その妻の話だ。
結婚してからわかった事なんだが、妻の叔母さんで拝み屋さんみたいな事をしている人がいるらしい。
詳しくは知らないが、結構よく言い当てる人のようだ。

で、俺の妻も薄く血をひいているせいか、たまにお告げがあるらしい。
俺の祖父が病で入院していた時の事、闘病むなしく逝ってしまった。
深夜の電話で看病していた父から連絡を受け、とり急ぎ妻と二人で病院へ駆けつける事にした。
その途中の車内での会話。

“やっぱりね…”と、妻。
“は?何が?”
“今日だと思ってたんだ”と更に妻が言う。
“だから何?”
“ちょっと前に、夢ってゆうか、枕元でってゆうか、教えられたの。
お爺ちゃんが亡くなる日。”
“……誰にだよ?”
“わかんない、けど、教えられた。”
“お告げかよ?”
“そんな感じかなぁ。たまにあるんだ。”
“………”
さらに聞けば、〇月〇日が危ないとの旨、教えられてたそうだ。
で、今日がまさしくその日との事。
そうゆう現象は否定しないタチの俺は、なるほどな、くらいにしか思わなかった。

そこで、ふと考えた。
“なぁ、あのさ、んじゃ俺が死ぬ時もひょっとするとわかるとか?”
と聞いてみた。
“う~ん…たぶんわかると思うよ。その時は知りたい?”
“知りたかねーよ、もしそんなお告げあったら、死ぬ前に美味い物たらふく食わせてくれよな”
“うん、わかった(笑)”

ほどなく病院に着いた俺らは、その後葬儀やら何やらで忙しく話はそこで終わったままだ。
あれから十数年、いろんな人の死に立ち会ってきた。そのたびに思うようになってきた。
特別な日でもないのに、大好きな味付けご飯の大盛りと、これまた大好きな若鶏の唐揚げのテンコ盛りが夕飯に出てきたら、次は俺の番なんだろな…と。

以上です。

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