二階建ての一軒家

272 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/26(金) 04:52:03 ID:cTChOIjZ0

 高校生の頃に親の仕事の都合で引越して、関西地方の二階建ての一軒家に住んでいた頃のことです。両親と兄、私の四人家族で、二階の二部屋を兄と私が使っていました。
 階段を上がってすぐの部屋が私の部屋で、私の部屋の前を真っ直ぐ通った奥が兄の部屋でした。
 二階は、この二部屋しかありませんでした。
 引越してきて一ヶ月くらいの頃、夕方学校から帰ってきた時、両親も兄もまだ帰宅しておらず、私一人だったので引き戸を開けたまま自分の部屋で着替えをしていると、誰かが階段を上がってくる足音が聞こえてきたんです。
家族は誰もいないはずなので何者なのかわからず、怖くて開けたままの引き戸の方をじっと見て暫く固まってました。
階段を上がる足音が段々近づいてきて、階段を上がりきったと思えるまで足音が聞こえたのですが、誰も姿を現なかったんです。
私の部屋は階段を上がってすぐなので、階段を上がりきれば引き戸が開いているので必ず姿が見えるはずなんです。
暫く待ってみても階段を下りる足音もせず何の物音もしないので、恐る恐る引き戸に近づき、そこから顔を出して階段を覗いて見ましたが、誰もいませんでした。
夜、帰って来た家族にこの事を話したのですが、皆、気のせいだろうと言うだけで信じてもらえませんでした。

 この日から時々奇妙な事が起きるようになりました。
 家に私以外誰もいないのに、一階のトイレのドアを開け閉めする音がしたり、私が自分の部屋にいる時にちゃんと閉めたはずの引き戸が、勝手に1~2センチほど隙間を開けていたり、深夜にあの階段を上がってくる足音がまた聞こえたりしました。
深夜の足音は兄かも知れないと思い、何度か足音を聞いた翌日に兄に夜中に階段を使ったか訊いたのですが、兄は使っていないと言いました。
事実、兄の足音と違って音が小さく、何故か階段を下りる足音はせず、上がってくる足音しかしないし、階段を上がってきた後、兄の部屋までの廊下を歩く足音はしなかったんです。
中でも一番驚いた出来事は、学校が早く終った日に自分の部屋で少し昼寝をしていた時、ふと目が覚めると閉めたはずの引き戸が開いていて、廊下に小さな男の子が立ってこっちを見ていたんです。
私が驚いてベッドから起き上がろうとしたら、その子は奥の兄の部屋の方へと行ったので、近所の子供が勝手に入ってきたのかと思い兄の部屋の方に行って見たのですが、兄の部屋の中に入って見てもさっきの男の子の姿は無く、私が帰宅した時に玄関の鍵を閉めたはずなので子供が勝手に入れるはずもないと思い、一階に下りて玄関の鍵を確かめたらちゃんと鍵はかかっているという事がありました。

 それから半年くらいした頃、母もこの家が何か変だと言い出したんです。
最初は私の話を信じていなかったんですが、母も昼間一人で家にいる時に、勝手にトイレのドアが開け閉めされる音を聞いたり、誰かが階段を上がる足音がするという事を何度か体験したらしいんです。
それである日、近所の方と話をしている時に、以前この家に住んでいた方の話を聞いてみたらしいんです。
近所の方の話では、40歳くらいの夫婦とまだ幼稚園にはいる前くらいの年の男の子が住んでいたらしいんですが、ある頃から旦那さんの姿を全く見かけなくなり、離婚でもされたのかと思いその事には触れずにご近所付き合いをしていたらしいんですが、いつの間にか男の子の方も姿を見なくなり、その頃から奥さんもあまり表に姿を見せなくなって、どうも人を避けているような感じになっていたそうです。
そして私達が引越してくる二年ほど前に、ご近所にも何も言わずに引越したのか知らない間にいなくなっていたそうです。

 ほんのり程度にも怖くない話かも知れませんが、私の高校生の頃の体験です。

前の話へ

次の話へ