和室のふすま

300 名前:本当にあった怖い名無し :2006/04/20(木) 16:46:51 ID:SYIlG8am0

んじゃ、流れを変える。

オレが昔よく出入りさせてもらってた会社での出来事。
その会社ちょっと変わってて、中古住宅を借りてそこで仕事してた。
ある日の夕方、その会社に行った。
玄関をあけ、靴を脱ぎ、玄関の正面にのびる廊下を歩こうとしたときだった。
その廊下の右手に和室があり、廊下と部屋を仕切っていたふすまが少し開いていたんだ。
その会社ではその和室を応接室として使っているらしく、
ソファーセットやらでかいテーブルやらが置いてあったんだが、
ソファーに誰か座ってるのが見えた。こちらに背を向ける感じで。
「あ、お客さんか」となんとなく思って、和室の隣り、廊下の突き当たりのリビングへ入る。

「どもー、お世話さまでーす」
ここの社員といつものように挨拶をかわし、仕事の話。
コーヒーを1杯もらいながら、あることに気付いた。
社員全員(といっても4人くらい)が、全員このリビングにいるのだ。
「あれ?」と思って社長に声かけたんだ。「隣の部屋のお客さんいるけど・・・」って。

社長は一瞬「え?」みたいな顏してさ、「誰も来てないはずだけど」って言うのよ。
「いや確かにいましたよ。ブルーグレーっぽいスーツきた男の人」
一応隣りの部屋まで聞こえないくらいの大きさの声で話す。
そしたら社員のひとりがリビングと和室の間にある引き戸をあけたんだ。
うん、案の定だれもいなかった。

それから1週間くらいたったころかな?
またその会社に行く用事ができた。
今日はその和室のふすまは開いてなかった。
で、リビングに入ったとたん、一瞬空気変わったんだ。
「Tさん・・・この前和室で“みた”って言ったじゃん?」
社長がこそっと声をかけてくる。
社員全員の顏がこちらを向いている。
「うん、いつの間にかいなくなったお客さんのことでしょw」
と返すと「昨日K君が来たんだけど、Tさんと同じこと言うんだよ」だって。。
K君はオレと会社も違うし、時々この会社で顏を合わせるくらいで、オレとは殆ど接点がない人だ。
もちろん口裏を合わせるとかしないし、そもそもオレは1週間出張で遠方に行っていたのだ。

結局そのスーツの男が誰だったのか、なんの目的でそこにいたのか分からないが、
ある社員はその人物に心当たりがあるようだった。
なんでも夢にブルーグレーのスーツを着たその人が出てきて、手招きをするらしい。
何度も何度もその夢を見続け、ある夜「まだそっちには行けねぇ!」ってキレたら
もう二度とその夢を見ることはなかったそうだ。

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