灰色のドア

172: ↓名無しさん@おーぷん:15/04/17(金)11:18:33 ID:gDU ×

子供の頃の話
小さかったから勘違いしたんだろ、と言われたらそれまでな話
児童養護施設に一時預かりの時
知らない場所にきてテンションが上がってたんだが
ドアがすべてスライド式だったのに一つだけドアノブがついてて灰色のドアがあった。
そのドアを開いて中に入ると男の人(仮)と
女の人(仮)がいた。
何故(仮)かというと、顔が見えず、なんとなく男の人、女の人、と直感で思っただけだったから
その部屋は広くもなく狭くもなかったと思う。
二人とどのくらいだかわからないが遊んでいたら急に親に会いたくなった。
「お母さんどこにいる?」
二人に聞くとドアを指差すから急いでドアにいきその部屋を出た。
その施設の玄関に行くと、もう母はおらず
職員に聞くと帰った、と一言だった。
今度は無性にあの二人に会いたくなった。
灰色のドアがあった場所に行く、が
そこに灰色のドアはなく白塗りの壁だけがあった。
あの空間はとても楽しかった。
男の人も女の人も優しくて暖かかった。
たまに思うことがある。
あのまま部屋を出なければ良かった。と

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