162 名前:本当にあった怖い名無し :2006/04/16(日) 01:41:10 ID:p1gIAUZo0

私が小学6年生の時、新しい家に引っ越したばかりの頃の話。

とある週末、新しい近所を散策しようという事で私と父親、妹の3人で散歩にでかけた。
家の近くにあった川沿いの道を上流に向かって歩いていくと林に囲まれた広場に辿り着いた。
いつもは草野球に使われているようで、一側面には高いフェンスが立てられていた。
他に誰もいなかったので、父と妹は持ってきたボールで遊び始めた。

私はそんな風に戯れる気になれなかったので、フェンスの反対側にあった林に入った。
林の中は10m程の急な上り坂になっていて、その坂の上は林が開けていてどうやら道があるようだった。
どんな道があるんだろうという、子供特有の好奇心が働いた私は坂を登ってみることにした。
林の中の坂は思った以上に急で、細い木に足をかけながら登らなければならなかった。
おまけに真昼間なのに妙に薄暗くて文字通り鬱蒼とした感じだった。

やっと登った先は舗装されていない道と何の変哲もない畑があるだけだった。
「なーんだ」とがっかりして坂を下る事にした。下りも木に足をかけながらゆっくり下りた。
すると、とある木に足をかけた時目に何かが映った。
木の中程の黒い皮が縦に20センチ程剥げて、中の白い部分がむき出しになっていた。
「何だろ」と思ってよく見ると、その白い部分にはおびただしい量の文字が刻み込んであった。

『オカアサンニコロサレルオカアサンニコロサレルオカアサンニコロサレルオカアサンニコロサレル……』

残りの坂はダッシュで駆け下りた。

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