長野駅から近くて一番安いホテル

249 名前:本当にあった怖い名無し :2006/01/09(月) 00:45:12 ID:UNlKA6bN0

先月の事です。私と友人Aは翌日に東京行きを控えていました。
最寄駅から長野駅、長野駅から長野新幹線で東京へ向かう予定でした。
しかし思いのほか雪がひどく、「電車が不通になってしまうかもしれないから、
今日のうちに長野まで行って一泊しよう。」ということになりました。
とりあえず某検索サイトで長野駅から近くて一番安いホテルを探し、予約したのです。

で、そのホテルなんですが…古くて、全体的に暗いんです。ひと気もない。
部屋もなんかほこりっぽかった。私はそれぐらいにしか思わなかったんですが、
Aは妙におびえていました。Aは最初窓際のベッドに腰掛けたものの、
ベッドの真正面の壁に大きな鏡が掛けてあるのを気持ち悪がったので、
私が結局その窓際のベッドに寝ました。
朝早い新幹線と言う事もあり、翌日は5時半に起きることにし早めに就寝したのです。

数時間後のことです。隣で急にAが起きあがる気配がしました。
そして「まだ4時半だけど目が覚めてしまった。着替え始めるね。」と言うのです。
私は「そう。私は眠いから5時半まで寝るね。」と返し、寝ようとしました。
しかし次の瞬間誰かが寝ている私に馬乗りになったのです。
そして全体重を掛けて私の肋骨のあたりを圧迫しはじめました。
最初Aがふざけているのかと思ったのですが、本気で苦しい。止めようとしましたが
私はなぜか金縛りになっていて、ほとんど動けないのです。
目も開かず、正体を見ることもできません。
足首だけがわずかに曲げられて、布団にこすれる感触がしました。
叫びたいのに口からは空気が漏れる音がするだけ。
ようやく左手が動いたので私は必死に布団からだして、
圧迫しつづける誰かの右手の甲を、引っかきました。ゆっくりと何度も。
小さい手でした。それは小柄なAの手としか思えませんでした。
数十秒後、ふと圧迫してくる感触が消え、同時に私の金縛りも解けました。
私はすぐさま隣のベッドを見ました。
…Aはぐっすりと、気持ち良さそうに眠っていました。

生霊というやつだったのでしょうか。
それともまったく別の誰かの仕業だったのでしょうか。
私は東京行きの新幹線に乗りながら、隣に座るAの右の手の甲を見ましたが、
引っかき傷などどこにもありませんでした。

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