全身びしょ濡れ

22 名前:濡れ音 ◆thfiPvTYGQ :2005/12/23(金) 20:12:49 ID:FDDpwLzNO

こんばんは前スレで肩こりの話を書いた奴です。
>951だったと思います。コブクロ聞いたらノってきたのでまたA先輩の話書きますね。


前に書いた通りにA先輩が体験した共同生活の話漏れは高校生の時に聞きました。
(まぁ高校なんて言っても田舎すぎて中学からの繰り上げみたいな感じでしだよ。学区内に一個しかないし。)
その日は、ずいぶんと天気が荒れ模様だったらしいです。自分の地元は冬が近づいて来るとよく天気が荒れて台風より洒落になんない感じなんですが、A先輩(当時高校生)はその日またもやBさん(同じ高校で同級生)の家に居座ってたらしく、
プレステやりながらまったりしてたらBさんの妹さん(当時中学生)が全身びしょ濡れで帰って来たのでBさんが、

Bさん「○○(Bさんの妹さんの名前ね)どうしたの?そんな濡れて。」

Bさんの妹「それがさ急に天気が荒れてな。Aさん泊まってった方が良いよ!お母さんもお父さんもそうしろって」

A先輩「え?今日ってさ、叔母さんといとこが泊まりに来る言ってたやん」

Bさん「あー平気平気!うち異様に部屋多いのAも知ってんじゃん」


そうなんですBさんの家は一見は普通の古民家なんですが二階立てで安い旅館みたいに部屋がいっぱい有るんです。

一応、家に連絡しなくてはとA先輩は言いBさんと一緒に電話の有る居間へ行くと
(携帯電話が普及してた時代でしたがBさんの家には電波来ないんです)
そこにはコタツに入ってるBさんの叔母さんといとこさんが居たそうです。
叔母さんは一言で言うと大阪のおばちゃん明るくてチャキチャキしてる人でいとこさんも明るくて元気そうな子だったそうです。
その時の季節は秋ですがBさんの家は異常に寒く常にコタツを出してたらしいです。

電話してる間中も二階からはビタビタゴトゴトと人間の足音がします。
Bさんの妹さんは一階に有るお風呂に入ってたのでA先輩もこの頃になるとまたかくらいでもう日常茶飯事になってました。
すると叔母さんは笑い出して
「この家も変わって無いね!懐かしい。」
と本当に懐かしがってたらしいです流石にいとこさんは苦笑してたそうです。天候も激しくなる一方で雨と風の勢いで家が揺れたそうです。

その日は金曜日で夕食を食べてA先輩はBさんの部屋に行こうとした所、
廊下の突き当たりにある窓が網戸になってたらしく強めの風が入って来ていて
A先輩は寒いので窓を閉めようと近づいて行くと窓の向こうに何かが動いて居るのが見えたのだ。

A先輩がよくよく見ると黒髪でおかっぱの女の子だった。
横顔しか見えなかったらしいが目のくりくりした着物の着てるらしく襟が見えたそうだ。
その子は瞬きもせずに青白い顔でBさんの庭と隣の民家の間に立って居たそうです。

(この子もこの家に住んでるって子なのかな?)
ぼーっとA先輩が見てると後ろからハキハキと、
「あらあらまだ居たのねあの子。あなたにも見えるみたいね」

A先輩と入れ違いにお風呂に入るらしい叔母さんがバスタオルを持って立っていた。

「こ、こんばんは。あの子知ってるんですか?」
「ええ、あなた位の時にねもう二十年以上前になるわ。この家こんなんだからね幽霊とか怖い話とかに興味が有ってね。
そんな時にあの子を見てね。話し掛けてみたのよ」
「話し掛けたんですか?」
「ええ、もう三十年…今から五十年前からあそこで待ってるんですって」
「誰を?」
「父親に捨てられたそうよ。あそこで父親を待ってるようね…戻って来た時に殺してやるって」

さらりと言う叔母さんにA先輩は少しゾッとしたらしいですが、
「なんであの子が人間じゃないと?」
と好奇心で聞いてみると叔母さんは言った。

「濡れて無いのよ。」
「え。」
「あたしが見たとき豪雨でね…でもあの子濡れて無かったのよ。全く」

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