…まあ、おだやかな顔でね…

846 名前:本当にあった怖い名無し :2005/12/16(金) 19:53:05 ID:8WWNXEX80

>>810さんの書き込みを読んで、書いてみる気になった。最近起きた実話です。
 父が亡くなり、喪主を務めることになった私は、通夜の行われた葬祭式場の
一室に泊まり、父の遺体と一緒に朝を迎えた。朝の7時半頃に、本葬の支度もあ
るし、親類たちももう少ししたらやって来るだろうから、今のうちにと思って、
部屋に備え付けの風呂に入った。
 さて上がろうかと浴槽から出ると、部屋につけっぱなしのテレビの音とともに、
いつの間にか、叔母が部屋に来ていて「…まあ、おだやかな顔でね…」などと、
父の死に顔について話しているのがはっきり聞こえたので、「え?。まだ8時にも
ならないのに、もう来たのか」と、慌てて服を着て部屋に戻ると、部屋にはだれ
もいない。ロビーにでも降りたのかと思いつつ身支度を整えた。
 大分たってから、当人が部屋に来たので「7時半頃に、こちらにいらっしゃいま
したか?」と尋ねると、きょとんとして「来るわけがない。今来たところだ」との
こと。「そりゃそうですよね…」と頭を掻いて、「ははあ、ここの従業員の人が、
部屋に来たのだろう。叔母の声と聞き間違えたな」と思ったのだが、後で考えて
みると、客が宿泊中の部屋に、しかもまだ寝ているかもしれない時間帯に、従業員
が断りもなく勝手に上がりこんで、ぺちゃくちゃしゃべったりする訳がないのだ。
 となると、あれは一体なんだったのか。だれが、だれと一緒に部屋にいたのか。

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