目をつぶっているのに

498 名前:本当にあった怖い名無し :2005/11/30(水) 12:18:51 ID:85f4InoFO

ほんのり恐いかもしれない話その2。

丁度ピンポンダッシュ?の件が始まった頃。
私は無光・無音じゃないと眠れないので、その日も体にかける布団の他に、顔にもタオルケットをかけ(上手いこと鼻の所は開けている。)眠りについた。

眠れないのはいつもの事だが、その日は妙に頭が冴えているような感じで、目をつぶっているのに、部屋の中が見える、という不思議な体験をした。

↑といってもこれは夢とか、妄想かも。
本題はここから。

目をつぶっても見える、目を開けても当然見える。不思議な感覚のまま、どうしたら良いのか。私は眠りたい訳で、不思議体験したい訳じゃない。

嫌な感じだなあ、と思い、寝る事に集中しはじめた時、突然、物凄く静かな事に気付いた。真夜中特有の、物音一つしない静寂。
それまで気付かなかった「真夜中」という現状に、何だか怖くなり目を閉じても、見える。

がさごそ布団の中で寝返りを繰り返していた時、外から音が聞こえた。

物音に少しほっとして、眠れる気がしていたのだが、音はずっと続く。

ほっとした理由は、その音は、人が砂利を歩くような足音に聞こえたからだ。通過すればまた無音だが、人の気配だけで充分ほっとしたのに…

足音だと思っていた音は、一向に通過しない。
寧ろその場で足踏みしているように、アパート二階の私の部屋の、丁度、窓下の辺りから、ずっと聞こえ続ける。

私は、その音が何であるかを考えた。砂利か、土か…、足音というよりも、ああ。

スコップで地面を掘る音だ。
わかるでしょうか、地面を掘る音。ザック…ザック…ザック…。一定のリズムで掘り続けている。

私はイラッとした。こんな夜中に地面掘ってんじゃねえよ!
しかしまあ、地面を掘るにしたって、そんな長い事掘らないだろう、と音が止むのを待つ事にしたが、音が止む気配は無い。

延々一時間程我慢したが、ついにキレて、窓の下に怒鳴ってやろうと目を開けた時、不意に音が止んだ。

タイミングの良いヤツめ。
いや…え、でも、やっぱりよく考えたら…へんじゃない?
いったい、こんな時間に何で地面を…?

夜中の三時。
考えないようにしていた「可能性」に気付き、そっと窓に目をやると、窓の外。
目が見えた。目から上の顔。男だと解った。のぞきこむような感じだった。
私は二階の部屋だ。

私はぎゃ!と声になってないようなよくわからん奇声を発し、もう一度よく窓を見た。

い、いませんね…、いませんね…?気のせいですねっ…!

気のせいという事にした。
布団にくるまって、必死に楽しい事を考えた。羊も数えた。隣の部屋(アパートのお隣さん部屋)から中年男性のアカペラらしき歌声がボソボソ聞こえ続けていた。

隣は空屋なのにね。

終り

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