大きな神木

788 :1/4:2008/09/03(水) 20:19:33 ID:g69XFD4Z0

まだ小学1年生か2年生くらいだったと思います。 
僕の家の横は旧神社跡地で、今はゲートボール場になっているのですが、
昔はそこに1本の大きな神木がありました。楠だったと思います。 
他にあると言えば、石段と何かよく分からない石碑。
そしてその石段を境にして、僕の家と神木がありました。 
両親が共働きだった僕は、よくその木に寄りかかって、愚痴や自慢などを木に向かって話していたのを覚えています。

秋~冬にかけてだったでしょうか、その日も僕は木に寄りかかり、木に向かっていつもの様に話し掛けていました。
日も暮れるのも大分早くなっていますから、あっという間に夜の闇が近付いて来ます。 
と言っても僕の家は隣なわけですから、別段急ぐわけでもなく、
いつもの様に石段を降り、家に戻ろうとした時です。
「せぇのぉ・・・」 
何か後ろから声が聞こえたような気がして、ハッと振り返るのですが、誰もいない。 
気のせいかと思い、その時は特に何も気にせず家に帰りました。 

家に帰り風呂から出た僕は、何とはなしにふとベランダから木の方を見ました。 
あまり車も通らない場所ですから、家の周りは静けさが漂っており、 
風に揺れる木の葉とそれを照らす月光がとても幻想的で、風もひんやりと心地良い。 
ギィ・・・ギィ・・・
何か軋むような音がする。 
その場所を目を凝らしてよく見ると、何かが木からぶらさがっており、ゆらゆらと揺れている。 
あれは・・・人だ・・・!!
幼いながらに、首吊りというのは知っていました。 
ふと気付くと視線を感じる。 
目をやると、二つの目玉がこちらを見てニヤリ・・・と、歪んだ笑みを浮かべていました。 
慌てて部屋に戻りベッドに入ったものの、その日は全く眠れませんでした。 

それからしばらく木には近付かないまま、年を越しました。 
あの日のことは新聞やニュースにもなっていなかったので、
僕の中でも、あれは錯覚だったのかな・・・?と整理され、遠い過去として頭の片隅に追いやっていました。 

そんな忘れかけていたある日、何の気なしに僕はあの木の下にいました。 
常葉樹のためか木には葉が残り、それに積もった雪が屋根のように陽を遮っています。 
何をするでもなく木に寄りかかっていると、静けさの中に何か音が聞こえて来ます。 
「ねんね・・・ころ・・・や・・・おこ・・・ろ・・・や・・・・・・」 
はっとして上を見ると、僕の顔の真上に裸足が一対あり、 
よく見上げると、遥か上の枝から、
きりんのように首の伸びた人であったろうモノが、ゆらゆらと僕の眼前で揺れていました。 

「い゛ぃ・・・っ・・・」と、僕の喉の奥から叫びにもならない音がし、驚いて飛び退いた瞬間、 
ぶつり・・・という音と同時に、ソレは僕の足元に降って来ました。 
人としての形は完全に崩れており、その背中であったろう場所には、
子供の形をした赤黒い肉塊がべっとりと張り付いていました。 
大急ぎで石段を降りたところで、何か背後に寒気を感じ振り返ると、
何かボールのようなものがぐちゃり・・・ぐちゃり・・・と転がり落ちて来、
まるで僕の両手に収まる予定であったかのように、何故だか僕はソレをキャッチしていました。 
ボールよりは人の顔に近い、とはいえ頭蓋からは肉が飛び出し、唇の裂けたソレは、
全く身動きのとれない僕に、『あの日』のように「にちゃり・・・」と笑いかけて来ました。 
「坊んも・・・逝くか・・・」 

そのまま僕は意識を失い、気が付けば隣家のおばさんが僕を見つめていました。 
「何があったか?」と聞いてくるおばさんに、どう答えれば良いのかも分からず、
僕自身もあやふやなまま、その体験は幕を閉じました。 

昔あの場所で何があったのかは、全く知らないままなのですが、 
その木の根元には、毎年二本だけ彼岸花が咲きます。 


792 :本当にあった怖い名無し:2008/09/03(水) 20:34:00 ID:PkF6lfwm0
1/4で「せぇのぉ…」と言ってた声と、3/4で「ねんね…」と言ってた声は同じなのかな? 
同じだとしても、それはぶら下がってたヤツと同じなのかな?
"声"とぶら下がってたヤツが同一なら、何故木の根元には彼岸花が『二本』咲くんだろ。
数に意味は無いのか、それとも何か意味が有るのか…

何より"ソレ"は、"僕"に何をしたかった(伝えたかった?)んだろ? 

『怖い話』に分類される話だろうけど、なんか不思議っていうかわからない話だね。
おれが理解力と想像力が無いだけ?w


793 :本当にあった怖い名無し:2008/09/03(水) 20:44:02 ID:/SQlDVDl0
「せぇのぉ」と「坊んも」が同一で、 
「子供の形をした赤黒い肉塊」&「僕のキャッチしたソレ」&「ねんね」が伸びてた人(?) 
んで、前者が子供、後者が親の自縛霊とかじゃないの?って思ったんだけど、どうですかねぇ?>>788さん 


794 :本当にあった怖い名無し:2008/09/03(水) 20:56:11 ID:g69XFD4Z0
>>792,793さん 

788です 
僕自信もはっきり分からないのですが、 
最後に転がってきたのは、落ちてきた胴体からちぎれてしまった生首だと思います。 

赤ん坊の方は動くでもなく喋るでもなくだったので、
聞こえた声は全て母親(?)のものではなかったのかと推測しています。 

僕自身も幼い頃の体験ですので、はっきりと伝えられず申し訳ありません。

前の話へ

次の話へ