独り暮らしの婆ちゃん

298 名前: ◆hTRDHEIofg :2005/09/29(木) 12:38:26 ID:bGmfeS190

私が子供の頃、近所に独り暮らしの婆ちゃんが住んでいました。 
私と兄は婆ちゃんの家に遊びに行くのが好きでした。 
いつもお菓子と一緒に、いろんな童話やお伽話を聞いてました。 
婆ちゃんは私が小学生の頃に亡くなってしまいました。 
その家は取り壊されて駐車場になっています。 

この前、久しぶりに里帰りした時にその場所を通りがかったんです。 
薄暗い明かりの外に老婆が座っているのが見えました。居間のテーブルがあった辺りに。 
あの時の婆ちゃんだ、そう思った私は怖さではなく嬉しさを感じました。 
あの婆ちゃんにまた会えたんだって。私は話がしたくて駐車場の中に入りました。 
婆ちゃんはバナナカステラ(私と兄が好きだったお菓子)が入った皿を持っていました。 
心なしか、私を待っているような気がしたんです。 
私が婆ちゃんに声を掛けようとした時、婆ちゃんは白いモヤのようになって消えていきました。 
少し切なくなりました。せっかく会えたのに。あの頃のお礼が言いたかったのに。 

私は婆ちゃんが座ってた場所に向かって「ありがとね」と手を合わせました。 
その時になって気づいたんです。大人になった私は、婆ちゃんが知ってる私と違う事を。 
でも駐車場を出るときに背後から声が聞こえました。「大きゅうなったばい。(=大きくなったね)」と。 
私は誰もいない駐車場に向かって、大きく手を振りながら帰りました。 
あの頃と同じように。 


299 名前:本当にあった怖い名無し :2005/09/29(木) 13:52:40 ID:3RKdJIBm0



     ∧w∧    
   (,,*´ー`)  <大きゅうなったばい 
   / つ旦~   
 @(,,   ,,) 

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