アメリカ人の父と侍

189 :本当にあった怖い名無し:2009/11/16(月) 16:40:39 ID:V5gViB5UO

父親が幼い頃に体験した不思議な出来事です。 

私の父親はアメリカ人です。
父親は成人してから日本に移住しました。小さい頃から憧れていた国が日本だったそうです。 

そんな父(当時9歳)のためか、家族で日本へ海外旅行となりました。 
父はとっても張り切り、ガイドブックを読み耽り、ワクワクしながら日本に到着。 
日光や鬼怒川、新宿や浅草など、関東を巡ったそうです。
日本=忍者や侍だった父親は、忍者や侍がいないことにショックで、
わざわざアメリカから持ってきた宝物のオモチャの刀を、道端のごみ箱に捨てたらしいです。 
しかし、捨てた直後から激しい後悔にかられ、観光から帰ってきた旅館で夜中に泣いていたそうです。 

皆が寝静まり静まりかえった部屋に、いつの間にか侍が立っていました。
オーマイガー状態の父親に侍はゆっくり近付いてきて、そーっと捨てた刀を渡してきました。 
父は侍に「サンキューベリーマッチ」と言い、英語で興奮気味に話しかけました。
しかし侍はニコッとしただけで黙っています。 
次の瞬間、スウーッと侍は消えました。 
父は何故か、このことは絶対内緒にしなきゃ!と思い、皆には黙っていました。 

それから一週間、観光中に何度も侍は突然現れました。 
父以外には見えていないらしく、侍は父を見て優しく微笑んでいました。 
道に迷ったりしたときは、右手をかざしてくれて、その方向へ進むと目的地に着いたそうです。 
父はコミュニケーションをとれない侍へ、自分と侍の手を繋いだ絵をかきました。

アメリカに帰国する前日、侍は夜中に突然現れました。
父は下手くそな日本語で、「いっしょ、シカゴ、いこう」と言いました。 
侍は悲しそうな顔で首を振りました。
父は英語で「PLEASE!PLEASE!」と言いながら、激しく泣いてしまいました。 
侍は静かに涙を流し、色とりどりの小さな星が入った小びんを手渡しました。 
父も侍に絵をプレゼントしました。
父は侍に「ぜったい、また会えるよね」と聞きました。 
侍は淋しそうにニッコリして、スウーッと消えていきました。 

帰国し、それから二度と侍に会う事はありませんでした。 
しばらく経って、大人になった父は確信したそうです。
あのとき侍がくれたコンペイトウは、二度と会えない自分を思ってプレゼントしてくれたものなんだと。 
日本を好きになってくれて本当にありがとう。
これからずっと一人ぼっちにさせてしまってゴメンね…という意味だったんだと。

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