白装束の女性
690 名前:天城 :2005/08/12(金) 13:11:55 ID:xWVFrWUW0
他のサイトにも投稿したことがあるのでご存知の方もいらっしゃると思いますが・・・。
昭和17年、トラック環礁に在泊中の潜水艦に対し「ガダルカナル島への物資輸送」を行うよう命令が下り、祖父(すでに他界)の乗り組んでいた伊号潜水艦もその任に就くこととなった。
当時の伊号潜水艦には小型水上機を搭載した艦も存在しており、これを降ろせばかなり物資の輸送が可能と考えられたからである。
それでも足りず艦内のありとあらゆる隙間に物資を積み込み、通路には袋に入れた米を敷き、その上に板を渡して通路を確保する状況であった。
おかげで乗組員は板の上を中腰で移動しなければならなかったとか。
作戦は物資の揚陸中に米魚雷艇に襲われ中止、命からがら脱出に成功した。
『出撃して数日後の夜、通信士であった私は当直任務を終え、蚕棚のような寝台にもぐりこんだ。
寝ようとするんだがなんとなく寝付けない。
どうしたものかと思いながらただ横になっていた。
しばらくするとどこからか、「チリ~ン、チリ~ン」と鈴の音が聞こえてくる。
「誰だ?艦内で鈴なんかならすやつは?」と思っていると、通路をすうっ、と白装束の女性が背筋を伸ばして通っていった。
「女は乗せない戦船(いくさぶね)」と言われていた時代、女性が乗っていることはありえない。
まして通路は中腰でなければ・・・。
そこまで考えて「舟霊(ふなだま)」ではないかと思い・・・。』
ここで祖父は『見なかったことにして毛布をかぶって寝てしまった。』そうです。
『船乗りは縁起を担ぐ。
「舟霊が出た」とか「舟霊抜けた」、そうゆう船は近々沈むと言われている。
「出た」といえば魚雷艇に襲われたときに切り抜けられなかったろう』と話しておりました。
だけどね・・・。
祖父が乗り組んでいた潜水艦が戦没したのはその3年後のことです。
大 分時間が空いてるんですけどね・・・。
また、他サイトでは「見なかったことにして・・・。」は「まんじりとせず」になってます。念のため。
長くてどうもすいません。