留守電ランプ
554 名前:1 :2005/07/29(金) 23:00:47 ID:qm0bsgB40
ある日Aが帰ると電話の留守電ランプが真っ暗な部屋の中で煌々と点滅していた。
Aは大学へ進学するため東京に引っ越してきて一週間ばかりしか経ってない。
まだそれほど友達もおらず、ましてや家電の番号を知っているものなんてAの家族くらいであった。
“親からの連絡かな”などと思いつつ留守電の再生ボタンを押す。
「一件です。ピー。」お決まりの無機質なアナウンスが電話機から流れる。
「・・・。ガチャ。4月●日午後8時30分です。」
Aは時計を見る。針が8時25分をさしている。
“あれ?おかしいな”などと思いつつ、部屋の電気をつけて買ってきたビールで寛ごうとしたその時だった。
「プルルル!」電話の音がけたたましく鳴り響いた。
受話器を取った刹那、急に金縛りにあったように体が動けなくなった、そして
「コロシテヤル・・・」
受話器の向こうから男とも女とも取れない断末魔の叫びようのな声が聞こえてきた。
・・・何分そこに立ち尽くしていただろう。
とっくに電話は切れて「プープープー」というあのシグナル音しか聞こえなくなっていた。
“き、きっとたちの悪いいたずらだ。”
Aはそう無理やり解釈し、気を紛らわすため買ってきたビールを一気に飲み干した。
しかしこれでは終わらなかったのだ。
毎日、それも同じ時間にあの留守電が入り、そのあとあの「コロシテヤル」という電話がかかってくるようになったのだ。
・・・それから4日はたっただろうか。
精神的に滅入ってしまったAは自室へ帰る時間をずらすことにした。
何時もはしないバイトの残業も喜んでするようになっていった。
そしてバイトで休憩を取っていた時のことである。
突如彼の携帯がなりだしたのである。あて先は・・・
何も表示されていない。“あれ?こんなんありかよ?”などと思いつつ、
電話を取ってみた。すると・・・
「ニガサナイヨ。。。オマエヲコロシニイクヨ」
またあの声だ。
“これは生きてるものじゃねえな。でもお経なんて読めないし、九字切りなんて忘れたし・・・”
すっかりビビったAさんは、ふと昨日ネットで見たことを思い出した。
あれならつかえるかも。
尚も“殺すコール”を連続している謎の発信者に向けてAさんが放った言葉。それは、
「通報しますた」
・・・一瞬の沈黙の後、謎の電話の受話器を置く音が聞こえた。
緊張感から開放されAは食品販売店にも拘らず、
その場におしっこの池を作ってしまった。
それが原因でバイトをやめざるをえなくなったのだが、
あれ以降あの不気味な電話はかかってきてない。