漁村の不審人物

461: 本当にあった怖い名無し 2013/10/20(日) 19:50:48.61 ID:fu+k62PP0

海の話です。
戦争中(太平洋戦争ねw)は、末期になると漁民も軍事物資人員の運搬や海上警戒のために徴用 
されました。若い男でのみならず、初老の人間さえも村からいなくなって、漁業の継続的が困難 
になっていました。戦争が終わろうとしている時期、村に不審人物が侵入しているという噂が立 
ちました。夜間や日没時、早朝(といっても、漁村の朝は非常に早いのです)に、大柄の人間が 
海岸や段丘の原野を歩きまわっている:という目撃証言がでました。すでに、村の沖合には、 
米軍の潜水艦が我が顔に出没していましたので、敵兵士が上陸しているのではないか?という 
ことで、軍人に命令され、村人(ジジババ、女が主でしたが)で監視体制を敷きました。と
いっても、武器は竹槍程度のものしかないので、敵兵士を見つけても無力だったのですが。毎晩 
の監視の結果、そのようなあやしい人間が「いる」ということが判明しました。ある日の夜明け 
前に、海岸段丘の上で、四名の監視隊(ジジババ)が、黒い人影が早歩きで移動しているのを 
発見、誰何しましたが、その人物は彼らを無視して歩き去ったと。捕縛もできなかったし、歩く 
のが早くて追跡さえできなかったというのが情けなかったそうで、警察と軍人さんに、その体た 
らくを叱られたそうです。さらに、数日後、別の監視隊が、同じような人影を村の共有林の近く 
で見つけて、度胸のある[おっかさん]が、追いすがったそうですが、彼女は、その林のなかで 
「たたき殺された」」」のです。この事件に、官憲は色めき立ちました。特高と呼ばれる警官が 
数名も、辺鄙な漁村に調査に来ました。海岸は当時でも今でも一種の「防衛線」ですから、当然 
といえば当然なのですが。当時は、このような事件は、絶対に口外できず、それがさらに村人の 
恐怖心を煽ったとのこと。殺人については、村人間の怨恨の線でも捜査されたそうです。結局、 
その怪しい人物は捕縛されることもなく、村人たちは、「特高も偉そうにしていて役に立たない 
な」、と噂したそうです。灯火管制もあり、夜は暗く、そのような不審人物が徘徊している、 
ということで、村人たちは皆、縮み上がって毎夜を過ごしたそうです。村人が夜出歩かなく
なったので、不審人物の目撃はなくなり、終戦を迎えたそうです。

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