細長い物

966: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2005/04/14(木) 21:41:07 ID:8DqKStF/0 

同僚の話。
真冬日が続くと、山里では水道管の破裂故障が多くなる。 
大雪が降ったある寒い日、彼も修理で駆けずり回っていたという。

山中の小さな交差点で信号待ちをしている時。 
信号灯近くの電線に、真っ白い何かが動いていることに気がついた。 
黒い電線に絡みつくように、細長い物がゆったりと這い進んでいる。 
まるで大きな白い蛇か尺取虫かのように見えたそうだ。

じっと凝視しているうち、不意にそいつは「ずるりぃ」と滑り始めた。 
必死で電線にしがみつこうとしているようだが、滑りは止まらない。 
一息つく間もなく下の道路に転落し、濡れたアスファルトの上でパーンと弾ける。 
まるで雪合戦の雪弾が落ちた時のように。

後続車がいないことを確認し、車から降りて見に行ったという。 
道路の上には散らばった雪片しか残っておらず、生き物の姿は何も見えなかった。

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