彼女に何かが

376 :はせポリ:04/04/05 17:44

彼女を助手席に乗せて映画を見に行こうとしていた。 
少し離れているが車で1時間ぐらいかけて 
大きいシネコンまで行こうということになった。 
国道は混むので、山越えになるが 
全く混まない抜け道を走っていく事にしたんだ。 
その道は山の入り口付近にお店と自販機があって 
そこを過ぎると山を越えてふもとに下りるまで店がない。 
山に入って少ししたところで 
助手席の彼女がのどが渇いた、なんか飲みたいって言い出しやがった。 
しょうがないからさっき通り過ぎた自販機まで戻ろうと思って 
Uターンできる所を探した。 

その前に少しおかしいって気付くべきだった。 
彼女はその道のことを知っていたし、 
自動販売機を通り過ぎてしまうとお店がないことも知っていた。 
そして何より、引き返してまで飲み物がほしいって言うほど 
わがままな子では決してなかった。
ほどなくしてわき道が伸びている所が見つかり、 
そこに頭を入れて切り返し、Uターンしようとした。 
その道は山の中なのに舗装されているけっこう広い道で、 
ガードレールの切れ間から下に下って行く様に伸びていた。 
・・・ように見えた。 
そのわき道に入ろうとした瞬間、なんとなく助手席の彼女のほうを見ると 
見たこともない表情でニヤニヤしてる。 
えっ?と思って前を見るとさっきまで有ったはずの道がなかった。 

あわててブレーキを踏み、さほどスピードを出していなかったおかげもあって 
道から前輪を落としただけの所で車は止まった。 
ガードレールの切れ目の先には道はなく、 
宙に浮いた車のフロントの下には山の斜面が広がっていた。 
助手席からチッ!と舌打ちする音が聞こえ、 
彼女を見てみるとこちらを睨んだ後、首をガクッと垂れて意識がなくなってしまった。
彼女を起こしてみると置かれている状況がわからない様子。 
とりあえず車から降り、携帯が通じなかったので 
歩いてふもとの売店まで行って電話を借りてJAFを呼んだ。 
JAFが来てくれるのを待つ間、彼女に聞いてみたんだが 
ずっと寝ていて何も覚えていないらしい。 
のどが渇いたなどとも言っていないと言う。

売店の人にも聞いてみたがこの付近ではここしばらく事故などは起きていないし 
幽霊の類の話も聞かないという。 
その後、JAFのレッカーで車を引き上げてもらい、時間もけっこう経ってしまったので
その日は帰ることにした。 
彼女には寝ていた間に起こった事は話していない。 
山道に何かいたのではなく、 
彼女に何かがついているのだろうか? 

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