赤子の掌

261 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/01 23:54

同僚の話。
山奥の家屋修繕を請け負った時のこと。 
その家の裏山には、椎茸を栽培するための朽ち木が投げ棄ててあった。 
朽ち木にはたくさんの椎茸が生えていたが、かなり異様な外見をしていた。 
傘の部分が一方向に小さく五つ、枝分かれしていたのだ。 
まるで赤子の掌を連想させたという。

施主が言うには、時たまこのような形の椎茸が生えるのだそうだ。 
その都度、不気味なので棄てているとのこと。 
聞くとその昔裏山には、間引きで亡くなった子どもを慰める地蔵が有ったらしい。

良かったら持って帰りなさい、味はいいんだから。 
そう言って勧められたそうだが、謹んで辞退させてもらったそうだ。

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