逢いたかったですぅ

39 :本当にあった怖い名無し :05/02/02 11:59:32 ID:qmggFklL0

数年前、初めて金縛りに遭った時の話。 

明け方の薄暗い部屋、ベッドの中でふと目が覚めた。 
身体に妙な違和感を感じる。 
身が縮まり、全身が圧迫される様な不思議な感覚。 
その微妙な不快感から逃れようと寝返りを打とうとした。 

が、まったく身体が動かない、 
指先から足先までガチガチに固まり、微動だにしない。 
目だけが動き、部屋の中を見回そうとしたが、首が動かない分、 
視界には制限が付き、思う様には見回せない。 

不思議と恐怖感は無く、気分は高揚し、むしろ楽しんですらいて、 
「えッ?!何これッ?!まさか……金縛りッ?!凄えッ!!本当に動かねーッ!!!!」 
などと、間抜けな事を考えていた。 
と、その時である。 

足の方から何かがズリズリと這い上がって来る。 
まるで、人が腹這いで身体の上に乗っかりながら這いずっている様だ。 
「おッ?!おおッ?!」 
と、驚いていると、ソレはいつの間にか顔の前まで来ていた。 

輪郭のぼやけた黒い塊、粒子の粗い黒い煙、 
にも関わらず、何故か質量が感じられる。 
異様な存在感、そして威圧感。 
未だかつて味わった事の無い存在に正直たじろいでいる自分。 

と、それが声を上げた。 
「………逢いたかったですぅ……………」 
聴いたことが有る様な無い様な若い女の声。 
その声が、粘っこく神経に絡みつく。 

その瞬間、一気に頭に血が昇った。 
ソレの自分に対する理不尽な行動に怒りが全身を支配する。 
と同時に、思いっきり身体に力を込めた。 
指先が僅かに動いた。 

更に力を込める、全身全霊で拳を握り込んだ瞬間、金縛りが解ける。 
と同時に上半身を勢い良く起しながら、 
「オゥラアッ!!!!」 
気合と共にポーズを決めた。 

気分は格ゲーの勝ちポーズ、格好悪いにも程がある、最悪である。 
それは兎も角、その時は浮かれ気分のあんぽんたんで、 
「俺様カッコイイー!!」 
などと本気で思い、金縛りに打ち勝った事で上機嫌だった。 

その上機嫌のまま、ベッドに横になると、 
再び先程と同じ様な感覚、金縛りが襲って来た。 
身体が動かなくなり、また何かが這い上がって来る。 
が、しかし一度体験した事で慣れたのか余裕だった。 

先程と同じく、全身に力を込め拳を握る。 
と同時に金縛りも解ける。 
得意の絶頂で、"何度でも来い"と思っていたが、 
その後は何事も無く、何時しか眠ってしまい、昼過ぎまで惰眠を貪っていた。 

起きた後、何気なく明け方の事を思い出していて、ふと思った。 
あれが死霊だとしたらまるで心当たりが無いのだが、 
もし、あれが生霊だとしたら………、 
「あれ?これって…………ほんのり?」 

以上、駄文長文スマソ。 

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