神隠しの山

814: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/12/09 01:50:39 ID:NpO2XFNm
知り合いの話。
彼女の実家の墓所は、町外れの山の中にある。 
墓参りに行く度、「一人で山の奥に入るんじゃない、神隠しに遭うぞ!」 
そう厳しく言われていたという。

長じてから、その山の謂れを知った。 
その山に一人で迷い込んだ者は、次の日までに消えてしまい、見つからなくなるのだと。 
何となく不気味に思われて、子供たちはその山の近くで遊ぼうとはしなかった。

大学生となり、地元の歴史を調べていた時、彼女はとある事実を知ってしまった。 
件の山はごく近世まで、姥捨て山として存在していたのだ。 
神隠しの山を、人を捨てる地に利用したのは、誰のどのような思惑だったのか。 
それとも捨てたことへの後ろめたさから、神隠しのような噂が生じ、禁忌の土地へと 
変わったのか。

今では、色んな意味でその山が怖いのだという。 
墓参りの時は、子供たちから絶対に目が離せないそうだ。

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