赤黒い手

812: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 04/12/09 01:48:20 ID:NpO2XFNm

先輩の話。
実家近くの山の展望台に出かけたのだという。 
ひとしきり眺望を楽しみ、缶コーヒーでも飲もうと自販機に向かった。 
休憩所に置かれていた自販機は、当時よく見られた当たり付きのタイプだった。

いきなり当たりが出た。もう一本選ぶと、それもまた当たりとなる。 
調子に乗った先輩はボタンを押しまくった。 
五本連続で当たった時点で、さすがにおかしいと指を止める。

壊れているのかな?と思い、器械を叩いてみたりした。 
と、背後でガサガサと音がする。 
振り向くと毛むくじゃらの赤黒い手が五つ、藪の中から突き出されていた。 
本体はよく見えない。

足元の六本の缶ジュースと目の前の手をしげしげと見比べた。 
数はぴったりだ。 
一本ずつ缶を握らせると、手は静かに薮中に引き返していったそうだ。

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