お神楽

798:   04/12/08 23:47:26 ID:aM4iFhpP
若い頃、仲間たちと星を見に山に登った。松の木の枝の下にテントを張り、 
星を見るのもそこそこにお喋りに花が咲いていた。そんな中、一人の女の子だけが 
まったくしゃべらない。「具合でも悪いの?」と問うが、その子は何も答えず、 
隣にいたその子の友人が代わりに「あ、き、気にしないで。大丈夫だから」となぜか 
あせって答えた。翌朝、その子に「ゆうべはどうしたの?」と聞くと、「木が生い茂 
った奥の方からお神楽が一晩中聞こえてたんです」と答えた。その子の友人曰く、 
彼女は「見える人」なのだそうだ。 
下山前、気になって彼女が言っていた林の奥に行って見た。少し歩くと開けた場所が 
あり、地面にはお社の跡らしき礎石が並んでいた。

前の話へ

次の話へ