白い鶏のようなもの

377 :雷鳥一号:03/11/29 23:25
里山を歩いていると、蕨を見つけたので摘んでいた。 
摘み終わって顔を上げると、いつの間にか目と鼻の先に鳥がうずくまっていた。 
少し大きめの白い鶏だった。
誰かが山に捨てたのかな、と思いながら嘴先に蕨を差し出してみた。 
鶏は蕨の先をつついて飲み込むと、一声大きく鳴いた。 
その鳴き声は彼曰く、決して鶏の鳴き声ではなかったという。 
何というか、犬の遠吠えによく似ていたというのだ。

目を丸くして驚いていると、鶏は踵を返して山の中に消えた。 
その尻尾は異様に長く、まるで白い蛇をぶら下げているように見えたそうだ。

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