角が三本

651 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/09 01:23
知り合いの話。
深い山奥を歩いている時のこと。 
その時彼は道を見失い、尾根に向かって歩いていた。 
少し開けた場所にさしかかった時に、足がいきなり地面を踏み抜いてしまった。 
どうやら樽らしき物が埋められていたらしく、落とし穴のようになっていたのだ。

必死で足を引き抜くと、その隙間から中がぼんやりと見えた。 
何か黒い物が足を抱えて座っていた。 
大人くらいの大きさの骨だった。

土葬の墓地に迷い込んだことを悟った彼は大いに慌て、穴を元通りに塞ごうとした。 
塞ぐ直前、日の光が一瞬穴に差し込み、骨の様子がはっきりと見えたという。 
そのしゃれこうべには、角が三本生えていた。

気がつくと知っている尾根に出ていた。 
どうやってそこまで逃げてきたか、まるで覚えていなかった。 
帰ってくるとすぐに、彼は御祓いに行ったのだそうだ。

前の話へ

次の話へ