ぷるんとした水

664 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/18 22:42
同じく測量士から聞いた話。 
池のほとりで人を待っている時、何気なく見た水面に強い違和感を覚えた。 
風はあるにもかかわらず、気味が悪いほどに凪いでいる。 
測量士は岸辺に近寄り、両手で水を掬い上げた。 
ぷるんとした手触り。掌の上で煮こごりのような水がふるふると震えている。 
その時、待ち人の乗った車が現れてクラクションを鳴らした。 
とたんに水は形を失って掌から零れ落ち、水面にサーッとさざ波が走った。

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