輝く竜

843 :雷鳥一号:03/11/25 01:30

知り合いの話。
彼の実家は、水道も引かれていない深山の寂村だった。 
十年程前の正月に帰った時のこと。

その時、彼はお爺さんと一緒に焚き付けにする薪を集めていた。 
ふと気がつくと、お爺さんが一心不乱に空を見つめていたそうだ。

きらきらと光る細長いものが、身をくねらせて飛んでいた。 
金色に光り輝く竜だった。 
竜は嬉しそうにくるくる回っていたが、やがて西方の空へ飛び去った。

それを見たお爺さんは哀しそうにこう言った。 
竜神様が行ってしまわれた。この村ももう終わりだな。 
それからしばらくして、その村の井戸は枯れたのだという。 
村人も次々とよその土地へ出て行き、今はもう廃村となっている。

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