796: 本当にあった怖い名無し 2005/06/04(土) 16:58:48 ID:KIkjjo1y0
山か車か迷うけど投下します
仕事で新潟へ行った帰りの出来事です。 
関越の渋滞に業を煮やした同僚Aは、高速から降りてみましたが、そこも渋滞でした。 
微妙にイラつくAをなだめ、気を紛らすために話しかけたりしてましたが私はウトウトと眠ってしまいました。 
横揺れの不快感で目を覚ますと車は快調に走ってました。
しかし道は山中で前後に車は無く、時計を見たら高速を降りてから4時間も経ってました。 

状況を聞いても要を得ないしタイヤが鳴るような運転をしていたので、私は運転の交代を申し出ましたがAは車を止めませんでした。 
しかし、ついに谷側の対向車線にオーバーランしたので、私は大声で怒鳴って車を止めさせました。Aは放心状態でした。 
運転を交代した私は来た道を戻ろうと思い、Uターンできる場所を探しながら車を走らせました。 
しばらく行くと山側に小さな空き地を見つけたので、そこに車を止めました。隣を見るとAはすでに眠っていました。 

先ほどの恐怖で息が詰まっていた私は、外の空気を吸いたくて車を出ました。外は自分の手も見えないほどの深い闇でした。 
煙草を吸いながら、しばらくのあいだ闇に身を任せていると、遠くにチラチラ灯りのようなものが見える気がしました。 
灯りは途切れ途切れの列になって、点いたり消えたりユラユラしていました。
何となく眺めていたのですが小雨が降ってきたので車に戻りました。
車に戻った私は急に眠くなり、そのまま眠ってしまいました。 
目を覚ますと外は一面霧で覆われてました。まだAは眠ってました。

身体が固くなっていたので、立って伸びをしたかったのですが、なぜか車の外に妙な気配を感じた私は車から出ることができませんでした。 
私は車を出して霧の中を恐々運転して、来た道を戻りました。 
しばらく走ると霧が薄くなって来て、麓に近づいてる事がわかって安心しました。
麓に下りると小さな雑貨屋兼食べ物屋みたいな店があり、お婆さんが掃き掃除をしていました。 
道を確かめようと車を止めて話しかけたら、こんな霧の中よく下りてきたと驚かれました。
事情を話すと、お婆さんは開店前なのに食事を作ってくれました。 
私達が車を止めた場所には祠が祀ってあり、しばらく待てば霧は晴れるのに私達が無事に山を下りることができたのは守られたからなのだそうです。

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