年嵩の案内人

803: 本当にあった怖い名無し 2005/06/05(日) 00:33:10 ID:B7Zz+15V0
聞いた話
山守が若い頃、ある山に初めて入った時のこと。 
場所が分らないので、年嵩の案内人と一緒に山道を歩いていた。 
途中、小さな谷にかかっている丸太を並べた橋を渡る際、 
ふと下を見ると、丸太の隙間から覗いている眼が見えた。 
一瞬通り過ぎてから慌てて振り返ってみると、 
案内人が、顔色も変えずに杖の先を隙間に突き立てていた。 
直後、谷から何かが落ちたような水音が聞こえてきたが、 
案内人は振り向きもしない。 
『時々、ああやって人を狙うヤツがおるからな。気をつけなされ』 
世間話でもするような口調でそう言うと、 
歩みを緩める事もなく、ひょいひょいと杣人を追い越していった。

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