彼女が自殺

874 :1:04/09/05 08:28 ID:jga8uy+9
友達から聞いた話 

その友達のバイト先の店長の話なんだけど、 
その店長ってのが白髪交じりでいつも憔悴した顔ながら、なかなかの男前。 
若いころはかなりモテたらしくて、女性関係もかなり派手だった。 
で、付き合っていた女の中に一人地味で正直やや不細工な女がいたんだって。 
何でそんな女と付き合ったかというと、酔った勢いとそのときの雰囲気でエッチしちゃったら、 
付きまとわれて半ば仕方なく付き合うことになったらしい。 
付き合ってみると料理も上手いし良く尽くしてくれる、性格も温厚で悪くない。 
でも、やっぱり顔が好みでない。ブスは三日で慣れると言うけど、 
やはりかなりモテていた店長、やがてかわいい子と知り合って、その女の子に乗り換えようとした。 
上手く別れようと考えていた矢先、 
そのかわいい女と楽しげに話しているところを目にしたらしい現彼女である地味めの不細工が咎めてきた。 
しかもその様相がかなりヤバイ、温厚だと思っていた性格など微塵も感じさせない雰囲気で、 
顔を真っ赤にして喚きながら、あたしを捨てるつもり云々、 
店長もとうとうキレて思わず「おまえみたいな不細工、俺が本気で好きになるわけないだろ」と言ってしまった。

その一言で彼女は一気に沈黙、その場で泣き出した。 
彼女を残してその場を去ろうとする店長に、彼女が呟いた「絶対忘れないから」。 
修羅場も何度か経験していた店長、あまり気にせず新しい彼女と付き合い始めた。 
その後暫らくしてから、友達の一人からあの彼女が自殺したと知らされた店長、 
何故と友達に尋ねると、遠慮しながら友達が人づてに聞いたと話し出した、 
なんでも店長にふられた理由が自分の容姿の所為だということでかなり思いつめていたらしい、 
それで彼女は整形手術を繰り返しうけて、理想の顔になろうとした、 
何度目かの手術でようやく満足のいく顔になったらしく、 
友達からも良かったねと祝福され、元気を取り戻したかのように見えた矢先、 
自宅で大量の睡眠薬を飲んで自殺した。 

話を聞いた店長はぞっとしながらも、自分にはもう関係ない話だ、忘れようと思い込もうとした。 
が、その日家に帰ると一通の手紙が自分宛に届いていた。 
差出人はあの彼女、慄きながらも、開封すると電波な内容を綴った手紙と共に一枚の写真が入ってる。 
それは自分が知っている彼女の面影など全くない美女の顔、 
手紙の最後には「会いに行くからね、今度はちゃんと愛してね」と書かれてある。 
あまりの気味悪さに店長は写真と手紙を燃やして捨てた。 
暫らくの間かなり滅入っていた店長だけど、その後特別気味悪いことも起こらず、 
時が経つにつれて、彼女のことも手紙や写真の事もすっかり忘れていった。 

それから店長は普通に就職して結婚して子供も生まれて、幸せに暮らしていたんだけど、 
ある日店長の一人娘に不幸がおこった。 
大学生だった彼女が、バイト先からの帰り何者かにレイプされた。しかも暴行までうけた。 
顔を酷く殴られ、傷つけられ、病院で手当てをした後もかなり目立つ傷痕が残り、 
骨折の所為で歪んだような顔になってしまったらしい。 
精神的な傷も酷く、暫らくのあいだいっさい口をきかなかった。 
ようやく口を開いた彼女が言った言葉は「整形したい」。 
それで彼女が元気を取り戻すならと、店長と奥さんは賛成し、彼女の頼みを快諾した。 
もともと美男美女の両親のわりに、それほどぱっとしなかった彼女、手術前にはいろいろ欲張ってあれこれ注文したらしい。 

手術は成功して、ようやく包帯が取れる日、 
店長と奥さんはどんな顔になっていても、 
驚いたりせず、出来るだけ普通に接しようと決めていた。 
包帯を解き、娘の顔を目にした店長は思わず言葉を失った。 
目にした娘の顔が、あの写真の顔と全く同じだった。 
何とか自然に振舞おうとしても、 
頭の中ではあの手紙や別れる間際の彼女振る舞いが蘇ってきて、まともに娘の顔を見られない。 
その後半年もしないうちに、店長は家を出た。 
精神的にかなり参っていたらしく、会社ではミスが多くなり、 
そのうち仕事も手につかないような状態になってしまい、 
家では娘の仕草一つ一つが、あの彼女そっくりに見えてくるようになった。 
終いには娘が自分を誘っているよう思えてきて、もう駄目だと感じ、 
適当に理由をつくり、自分勝手だが離婚をしてくれと話して、家族と別れ、会社も辞めてしまったらしい。 

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