ちょっと年上で元気のいいA君

702 :629:04/08/26 09:12 ID:jfJO9ILC
むかし某所でアルバイトをしていたとき、 
気のあうバイト仲間でよく飲み会をしていました。 

あるとき、ちょっと年上で元気のいいA君が入ってきました。 
体育会系ではないそうでしたが、声も大きく、 
挨拶とかいつも「慣れている」ってかんじにハキハキしている人でした。 
ちょうど忙しい時季だったため、 
歓迎会飲み会は3ヶ月くらい後になりました。 

飲み会の席で、バイト仲間のB子がボソっと、 
「地方在住のライブ友達を家に泊めてから金縛りで・・・」。 
当然みんな怖い話が好きですから「それでそれで」と盛り上がります。 
B子は「マジ怖いんだって、ちょっと聞きなよ」と説明を続けます。 

毎晩ではないものひんぱんに、 
ベッドに入ってしばらくウトウトしたころにそれは来るそうです。 
腕だの脚だの髪の毛だのを引っ張られることがあるけれど、 
なにか嫌なものを見てしまいそうなので、いつも目をつぶっていると言います。 
「ほっとけばそのうちいなくなるんだけど、あるとき、 
 なんみょーほーれんげきょーって唱えたら・・・」 

なんと、目を閉じた顔のすぐ前で(クックックッ)と笑われたのだそうです。 
聞いていたみんなは「うぉぉぉぉ怖えー!」と盛り上がっていますが、 
B子は涙目に・・・。 
その場はなんとかとりなして、塩置けとか、お札貼れとか、 
みんな適当で無責任なアドバイスをする程度でした。 
ただ、なぜかA君だけは、 
真剣というのとはちょっとちがう、妙な目つきでB子を見ていました。 

それから一週間もしないうちに、 
別のバイト仲間から「A君、B子ちゃんと付き合い始めたらしいよ」と聞きました。 
なるほどーあのときの目つきはそういうことねーと思いましたが、 
お似合いのカップルかもねと、みんなでそうっと見守る雰囲気に。 

ところが飲み会から数えて一ヶ月後くらいしたころ、 
B子から「うちの近所にステキなお店できたんで一緒にどう?」と誘われました。 
わたしは(ははーん、A君のことで相談ね)とピンと来たので、 
シフトを合わせて、二人で飲み会のあとB子の家に泊まることにしました。 

お店の雰囲気もすごくよくて、お料理もお酒もとってもおいしく、 
「いいねー楽しいねー」とひとしきり盛り上がって、ようやくB子の相談タイムに。 
ニヤニヤしながら聞いていると「実はさ、A君と・・・」・・・。 
例の飲み会の後で、A君から話しかけてきたそうです。 
「金縛りだいじょうぶ? バイトで疲れてない? 僕でよければ力になるよ」 
はじめはA君がタイプじゃないこともあって、いまいち乗り気じゃなかったB子も、 
顔を合わせるたび「どう、だいじょうぶ?」と丁寧に気にかけてくれるA君に、 
だんだんと好意を持つようになったそうです。 
それでも一時期ほどではないものの、相変わらず金縛りは続いていたそうです。 

「付き合うってほどじゃなかったんだけど・・・」 
いつしかバイト後にいっしょに食事をしたり、 
ミニドライブなどもするようになったそうです。 

あるときA君が言ったそうです。 
「金縛りが起きるのには原因が必ずある。放って置くのはよくない。 
 僕はたいていの原因ならよく効く方法を知っている」 
B子は(これは泊まりに来たいっていうこと?)とちょいドキしたそうですが、 
A君の言う「お祓いってわけじゃないけれど、絶対よかったと思えるところ」に、 
一緒にいくことになったのだそうです。 

「それってどこだったと思う?」 
B子は腹が立つというより、金縛りより気味悪いといった顔でこう言いました。 
「〇価学会会館だったのよぉぉ!」 

わたしは笑うに笑えず、でも笑いをこらえながら、 
「今夜はじゃんじゃん飲みましょー」と、飲み物の追加オーダーをしたのでした。 

A君との擬似恋愛モードがぽしゃったこともあり、 
B子の金縛りは緩解するだろうなとは思いましたが、ダメ押しで、 
その晩B子の家であれこれ説明して、ちょっと一芝居打っておきました。 
効果があったようで、たまに金縛りになっても幽霊は出ず、 
怖くもなくなったといいます。 

B子はその後、A君とはあからさまな疎遠を装い、 
噂が広まって居心地の悪くなったA君もバイトをやめました。 
わたしは黙っていたので、噂はB子が自分で広めたようです(笑) 

あるとき、上座仏教の本場で自称修業をしたある自称僧侶が曰く。 
「経典をありがたがるのは結構だけどさあ、 
 日本語タイトルをひっつめて連呼すれば、 
 なんとかなると思うって土人の宗教未満」(一同爆笑) 
あ、土人は差別語だっけ?とダメ僧侶はビールのジョッキをあおっていましたが。 

結婚してベビーに手を焼くB子とお盆に電話で話しました。 
「金縛りになってもいいからぐっすり寝たい」とのことでした。 

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