殿下

559 :本当にあった怖い名無し:04/08/23 19:42 ID:HL3ZHXzD
 私は現在12歳の中一の女の子です。今年の夏体験したほんのりと怖い話です。 
私の家はちょっと特殊で、私は普段は勝手に外出できません。
しかし、夏休み中のある日、ひそかに禁を侵し友達と外出することにしました。
地下鉄に乗って秋葉原というところに行きました。
こうして女の子2人だけで電車に乗るなんて、生まれて初めての体験でした。
秋葉原に着くと、色々なお店を見て回りました。
かごの鳥だった私にとって、もう何もかもが目新しく珍しく、歩いているだけで胸がワクワクしていました。 
 そんな時、私たち2人は誰かに声をかけられました。
見ると、太ってメガネをかけた色白の若い男性と、やはり若くてメガネの、ガリガリにやせた色黒の男性2人が立っていました。
太っているほうの男性が私に言いました。
「おネエちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」 
私は「何かいやだなー」と思いました。
その人たちはとても気持ち悪かったからです。
「お願いって何ですか?」私は尋ねました。
「俺のことを『お兄ちゃん』って一回言ってくれ」そう言って気持ち悪くニヤニヤ笑いました。
「イヤです。あなたは私の兄じゃありません」と私が答えると、その人は「ケチケチすんなよ! それぐらいいいじゃねーかよ!」 
と怒鳴り、気持ち悪い顔を近づけてきました。私たちは泣きそうになりました。
友達も私の肩をつかみ震えているようでした。
そこで私は彼の目をまっすぐ見つめ、一言小声で「お兄ちゃん・・・」と言いました。
するとその男性は、耳に手をあて「アーン聞こえんな?」と言うので、私はもう自棄になって、あたり一帯に響き渡るような大声で「お兄ちゃん!!」と怒鳴りました。 
すると彼は今まで打って変わって優しそうな表情になり、「ありがとう、これで昼飯でも食いな」 と私に千円札を握らせました。
私は返そうとしてしばらく押し問答が続きましたが、結局私が負けて、千円もらったまま彼らと別れました。 
「でも、良かったですわね。ばれなくて・・・」と友達が私に言った時でした。後ろからさっきの男性の声がしました。 
「達者でな! 殿下!」 
私たち2人は顔を見合わせ、一目散にその場から逃げ出しました・・・・ 

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